2018 Fiscal Year Research-status Report
「人」を貸し出す「図書館」の理念と実践に関する研究
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16K16162
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
照山 絢子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (10745590)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒューマンライブラリー / マイノリティ / 語りの場 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、日本国内におけるヒューマンライブラリーの参与観察、インタビューなどを実施した。特に今回は研究室の学生を帯同してのチームエスノグラフィーなど、調査の方法についてもこれまでとは違った試みを取り入れた。 さらに、これまでに得られたデータを用いて結果をまとめあげることにも注力した。特にヒューマンライブラリー発祥の地であるデンマークにおいて同様の研究を実施している新潟医療福祉大学の佐藤氏と協働し、デンマークで実施されているヒューマンライブラリーと比較して、日本での実践に見られる特性を「実施形態」「本のリクルート手法」「催しの公共性」などの観点から比較検討し、日本社会におけるマイノリティ性と差別の問題のありかたについて逆照射するかたちで分析した。また、こうした成果の発表として異文化間教育学会や東京大学で開催されたダイバーシティ教育定例研究会などで報告し、それらの場で受けたフィードバックを反映したかたちで、共著論文を執筆して異文化間教育に投稿済み(査読結果待ち)の状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査についてはおおむね順調に進展している。成果の発表については当初は年度内にかたちにすることを予定していたが、現状では論文投稿はできたものの結果を待っている状況であり、その意味では当初予定よりも少し遅れている。執筆やその内容の精緻化に時間がかかったためであり、もし今回投稿している論文が通らなければさらにブラッシュアップをして2019年度中に別の媒体に再投稿を試みるつもりでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
参与観察、インタビュー調査についてはいったんは収束させていき、データの分析と成果の執筆に力を注ぐ予定でいる。
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Causes of Carryover |
2018年度後半に、ヒューマンライブラリーの開催件数が一時減少して思ったように調査を進めることができなかったこともあり、一部を2019年度に繰り越して調査を継続することとした。ヒューマンライブラリー開催自体は全国的に増加傾向にあるため、2019年度はこれまで実施できなかった調査地にも赴く予定でいる。
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