2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K16164
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岡部 晋典 同志社大学, 学習支援・教育開発センター, 助教 (60584555)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 図書館 / 学術情報流通 / 疑似科学 / 蔵書構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、科学のふりをしているが科学ではないもの(以下、疑似科学)の図書が図書館でどう捉えられているか、多角的に研究するものである。平成28年度は、研究スタートの時期として、主として以下の2点を行った。(1)質的調査を用いた、生産者側(学術情報等の執筆者)の疑似科学図書についての意識についての解明(調査Aとする) (2)今後実施予定である図書館の蔵書についての量的調査(調査Bとする)のための下準備および先行研究者との打ち合わせ これらからは以下の内容が得られた。(1)学術情報の執筆者の意識、特に情報学等を中心とする人々の場合は論文生産速度の差異により、とくに入門書を執筆する際の困難が現在存在しており、学術情報に密に触れうる環境では問題にならないものの、現在の市民社会においては情報環境の統一性に困難があることや自浄作用が紙媒体では難しい状況がある。また、紙媒体ですでに存在する信頼できる情報源をウェブにあげていくことで、事実誤認を広く周知させる戦略の新しい学術プラットフォームが複数活動している事例を採取した。(2)先行研究者が行っていた大規模図書館における貸出データの分析手法や取得できるデータの内容について複数人と打ち合わせを行い、今後の研究の方針についての確認を行った。また、29年度以降に行う予定の研究である利用者サイドに着目した量的調査(調査Cとする)の設計についての助言を得た。なお、得られた成果の一部は実際に大学図書館等をはじめとする新たな学習支援の場である「ラーニング・コモンズ」におけるセミナー等に還元された。さらに(1)については、本研究の成果の一部を活用した図書を近日中に学術出版社より刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ申請したスケジュール通り研究は進捗している。先行研究者との打ち合わせを経て、当初想定していた分析視座とは異なり、質的調査のアプローチを採ったところ、学術図書として刊行できる分量の知見が得られたことは収穫である。また、平成29年度以降に行う予定の調査設計も準備が進んでおり、実際の調査を実施する準備が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、海外の図書館における蔵書の公平性についての調査(調査D)については、現在、シカゴやセントルイスの研究協力者と調整中であり、実施の見込みが立っている。ただし、調査Bの一部については、2016年6月に、主題は異なるものの、分析視座がきわめて類似した研究が査読付き論文として刊行されているため、新規性の獲得のため、先行研究者とは異なる手法で発展させる予定である。
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Causes of Carryover |
複数回行う予定であった研究打ち合わせについて、当初の想定よりも少ない回数の打ち合わせで当初の目的を達成したためと、研究者代表者自らが実施することにより人件費が当初予定より下回ったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していた量的調査について、より精度を高めた結果を得るため調査範囲を拡大するために用いることとする。
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Research Products
(4 results)