2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K16170
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤原 整 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 講師(任期付) (60755750)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ブータン / 情報社会 / エスノグラフィ / 地域研究 / 社会情報学 / 情報人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ブータン王国を対象地域として、フィールドワークを通じたエスノグラフィを著すことによって、ブータン独自の情報社会像を描き出すことを目的としている。ブータンは、農耕牧畜社会から工業化を経ずに情報社会へと至った、世界的にも特異なケースの一つであり、その実態を人類学的な視点から解明する調査には大きな意義があると考えられる。特に、途上国と呼ばれる国・地域においては、情報通信分野に関して、それを用いた経済開発に目が向けられ、地域住民の社会生活の変化という視点からは十分に論じられてこなかった。 研究三年目となる平成30年度は、平成29年度に引き続いて本調査を実施した。具体的には、現地協力研究機関であるブータン王立大学(Royal University of Bhutan)傘下のシェラブツェカレッジ(Sherubtse College)、および、ジグメナムゲル工科カレッジ(Jigme Namgyel Engineering College)の協力の下、2018年4月、および、2018年8月の二度に渡って現地調査を行った。計画当初は、ブータン国内の複数地域において一般家庭に滞在して参与観察を行う予定であったが、平成29年度同様、事情により各地域出身の学生のみを対象とした限定的な調査となった。また、当該年度中に、社会情報学会大会(2018年9月)において、本研究に関連した中間報告を実施した。 なお、計画当初は平成30年度が最終年度であり、ブータンにおいて調査報告会を実施し、それを以って本研究の成果報告とする予定であったが、【現在までの進捗状況】欄に詳述する通り、予定されていた報告会を中止せざるを得ない事態が生じたため、研究期間そのものを平成31年度まで繰り越して実施することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年3月にシェラブツェカレッジにおいて開催予定であった調査報告会が中止となり、研究自体を平成31年度に繰り越して実施せざるを得なくなったためである。調査報告会の中止は、主催者であった研究代表者の家族に急病があり、ブータンへの渡航そのものを中止することになったことに起因する。幸い、現地の大学関係者は理解を示してくださり、また参加予定であった方々にも滞りなく連絡が行き渡り、大きな混乱はなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画最終年度であった平成30年度までの間に、調査自体は一通り終了し、あとは2019年3月の現地調査報告会を残すのみという状況であった。2019年5月現在、ブータン王立大学側と、調査報告会を改めて開催すべく日程調整を行なっているところであり、遅くとも平成31年度中には実施を見込んでいる。また、国内外の学会においても報告を検討しており、まとまった研究成果については社会情報学会、または、日本南アジア学会のいずれかの学会誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、【現在までの進捗状況】に記した通り、本研究が遅れていることにある。最終の研究成果報告会の開催を中止し、渡航自体を取り止めたために、研究会開催費と一回分の渡航費が平成31年度に繰り越されることとなった。 平成31年度は、残額である461,074円が直接経費として計上される。その使用計画は以下の通りである。 旅費については、海外旅費として350,000円を計上する。会議費・印刷費については、本研究の報告会開催費100,000円を計上する。そして、物品費については、主に消耗品費として残額の11,074円を計上する。
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