2016 Fiscal Year Research-status Report
デジタル教科書の閲覧データを用いた学習者グループの自動生成による協調学習支援
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16K16173
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小島 健太郎 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (20525456)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | デジタル教科書 / 協調学習 / 学習者グループ / 自動生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、学習者による教育デジタル教科書の利用履歴やCMS に蓄積された情報を活用し、協調学習に最適化した学習者グループの生成を通じた学習支援を行うものである。本年は、モデルケースとして物理学の授業のデータを用いて、学習者グループの自動生成のための定式化を実行した。この定式化では、デジタル教材の閲覧データに加え、小テストの得点、所属学部等の属性などの情報を統合的に取り入れている。これらの情報をもとに、任意の人数での学習者グループを作成し、そこでのメンバーの異質性あるいは等質性を高めるための評価式を定め、その評価式に基づく最適化された学習者グループを数値計算により求めることを実現した。最適化計算は、Genetic algorithm に基づく手法を採用し、モデルケースの授業だけでなく、他の授業や学習者グループにおける学習者グループ生成にも適用可能な、汎用性の高いものである。今後は、学習支援システムの本格稼働に向け、Web アプリケーションとしてのグループ自動生成システムの開発を進めていく。 また、今後実施予定の学習支援の実証評価に向けた試行として、モデルケースの授業において、自動生成された学習者グループを、実際の授業内の協調学習に活用した。その協調学習において、学習支援の定量的な評価は実施していないが、この学習支援の枠組みが、授業内で有効に機能することの示唆を得ることができた。これらの研究を用いた成果の一部は、学会等で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の重要なポイントである、モデルケースの学習データを用いた学習者グループの自動生成のための定式化については、順調に進めることができた。この定式化は、学習者の人数、グループの人数、扱うデータの種類や内容、などに依存せず、最適な学習者グループの生成を可能にする、汎用的な枠組みと言える。一方、この手法に基づいた学習支援システムを、Webアプリケーションとして開発する点については、若干の遅れが見られている。また、当初計画では、デジタル教科書の内容のテキスト処理や統計分析を用い、学習内容のキーワードリストの自動生成を計画していた。この点については、モデルケースの物理学の授業の教材で、部分的に試行できたが、汎用的に利用可能な手法を構築するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、学習者グループの自動生成による学習支援を、モデルケースだけでなく幅広い教育の場面で活用できるように、インターフェースの開発や、CMS への実装といった、システム開発を進めていく。また、その後、学習支援の効果を測定するための、実証実験を進める。システム開発は、若干進捗が遅れているため、平成29年度の前半を中心に集中的に実施し、できるだけ早くWeb アプリケーション稼働する学習支援システムを構築する。実証実験は、申請者が所属する大学における複数の授業で、学習支援システムを利用したグループ学習等を実施し、アンケートによる評価を中心にした、システム評価を行う予定である。
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