2018 Fiscal Year Research-status Report
デジタル教科書の閲覧データを用いた学習者グループの自動生成による協調学習支援
Project/Area Number |
16K16173
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小島 健太郎 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (20525456)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | デジタル教科書 / 協調学習 / 学習者グループ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、デジタル教科書やCMS に蓄積された学習者の利用履歴を含んだ情報を活用し、協調学習に最適化した学習者グループの生成を行うことで、協調学習を支援するものである。協調学習における学習者間の効果的な相互作用を実現するには、学習者の知識や技能などを含んだ様々な属性を考慮した上で学習者グループを設計することが重要である。一般に、学習者の複数の属性を考慮しつつ最適なグループを導出するのは容易ではない。本研究では、汎用的に利用可能な学習者グループ自動生成の機能を開発・提供することで、多様な協調学習の場面において教育効果の向上を図る。 本年度は、昨年度までに開発を完了した学習者グループを自動生成するためのWeb アプリケーションを発展させ、CMS のプラグインとして実装するための開発を進めた。CMS は多様な学習者情報を格納しているため、それらを効果的にグループ生成に活用することが可能となった。とくに、CMS と紐づけられたデジタル教科書の閲覧データを自動分析し、その結果をグループ生成に用いる情報として参照できるようにした。また、大学初年次学生を対象とした複数の授業において、実証実験として、最適化した学習者グループ生成を行い、協調学習を実施した。これらの授業では、グループ生成による学習支援の効果を検討するため、グループごとの学習成果の定量的な比較や分析を実施した。これらの成果の一部は、学会等で発表された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度開発したWeb アプリケーションをベースにし、それを発展させCMS プラグインとして稼働させるための開発を完了させた。CMS プラグインとすることで、CMS が持つ多様な学習者の情報を取り入れ、グループ生成に反映させることが可能となった。特に、デジタル教科書の閲覧ログデータを、学習者グループ生成に用いることが可能となった。当初の計画においては、30年度中に全ての計画を終える予定であったが、当初計画にはなかったCMS 環境の大規模更新などが理由となり、一部の計画は31年度に実施することとなり、計画は若干遅れている。学習者グループ生成の際の、デジタル教科書の閲覧ログの活用に関しては、閲覧に関する量的な情報は利用可能になった。一方、閲覧内容まで分析してグループ生成に用いることは今後の課題である。学習支援を活用した教育の実証実験については、申請者が担当する授業で部分的に実施し、アンケート調査などを活用して、学習支援の効果の検討を進めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの開発を基盤に、学習者グループ生成をCMS プラグインとして稼働させ、学習支援を行う。また、複数の科目において協調学習支援を実施し、システムの実証実験を行う。実証実験では、学習者に対するアンケート、教師に対するアンケート、学習成果の定量分析を行い、その結果をふまえ、システム評価および改善を行う。
|
Causes of Carryover |
申請者が所属する機関において、計画当初予定になかった学習情報システムの大規模なアップデートが実施され、それに伴って本研究で開発を実施した学習支援システムの効果検証に遅れが生じたため。
|