2016 Fiscal Year Research-status Report
生体情報に基づく学習者状態に応じた自主学習支援システムの開発
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16K16175
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
長谷川 達人 東京医療保健大学, 医療保健学部, 助手 (10736862)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウェアラブルデバイス / 学習支援システム / 生体情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
知的学習支援ステムに関する研究は古くからなされているが,近年ウェアラブルデバイスの普及により学習者の状態を用いた知的学習支援システムの実用化が現実味を帯びてきている.本研究では,学習者の生体情報をウェアラブルデバイスを用いて計測し,学習者の心身状態に応じた知的学習支援システムを開発する.ウェアラブルデバイスを用いることで,これまでの生体情報測定に関わる大掛かりな機器を利用する場合に比べて,学習者が日常生活とほぼ変わりのないリラックスした状態で学習支援を実現することができる. 学習者の状態を得る手法として,眼電位や頭部の動きを計測できるアイウェアJINS MEMEを用いて生体情報を計測している.最終的には計測した生体情報と学習履歴を用いて最適な出題方法を分析する.本研究では英単語の暗記学習を対象とし,選択回答式の課題を回答する学習方法において,学習者が英単語を記憶している状態で回答しているのか,当てずっぽうに回答しているのかを推定する手法を開発する. 本手法の実現に向けて,計測機器の購入から計測試験,学習データを記録する実験システムの開発,事前実験までを実施している.事前実験では,ウェアラブルデバイスから計測できるセンサデータが正常に測定できていることを確認するとともに,簡単な動作に応じて眼電位と加速度,ジャイロセンサデータがどのような変化を行うのかという点の確認も実施しており,提案手法の実現に向けた特徴量の考察を実施している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,学習者の状態に応じて最適な学習課題を提供する自主学習支援システムを構築し,より短時間で効率の良い学習を学習者に提供することを目的としている. 当初の研究計画では,平成28年度には計測機器の事前準備,計測実験,実験用のシステム開発,事前実験までと想定していた.進捗として,平成28年度は実験環境の構築を主に実施した.計測機器の購入から計測試験,学習データを記録する実験システムの開発,事前実験までを実施している. 事前実験では,眼電位,加速度,ジャイロそれぞれのセンサデータから,目の動きや体の動きを示す特徴が抽出できるかという点の事前検証を行っている.JINS MEMEを着用した被験者に,所定の目の動作,頭部の動作を依頼し,リアルタイムで計測したセンサデータの変動の確認と,有用である特徴量の調査,検討を行った.また,1名の被験者が生体情報を計測しながら,本研究で開発した実験システムを用いて選択回答式の課題を回答する実験を行った.計測データから課題の記憶度合いに応じた生体情報の変化に関して主観的な分析を行った. また,当初の研究計画では,平成29年度に実験設計として,実験環境の構築,被験者タスクの設計,予備実験の実施,被験者の募集を行う予定としていたが,実験環境の構築は概ね完了しており,被験者タスクの設計は現在着手している状況である. 以上より,当初計画通りおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として,平成29年度から平成30年初旬にかけて実験設計,計測実験,実験結果の解析を実施していく.実験設計は平成28年度中に半分ほど完了しており,被験者タスクの設計,予備実験の実施,本実験の被験者の募集を実施する.計測実験はある程度の被験者を確保するため時間がかかることが想定されるので,実験の実施と計測データの集計整備を含めて平成29年度中に実施する.その後,実験結果の解析を進め,生体情報と暗記学習における回答情報の関連性を明らかにする. 平成30年度中旬以降では,明らかとなった関連性をもとに,生体情報から暗記学習の記憶度合いを推定する手法として確立し,本手法を自主学習支援システムとして実装,評価を実施していく予定である. 研究を遂行する上での課題として,平成29年度より研究代表者の所属異動があり,研究環境の再構築が必要となった.それに伴う費用と時間が当初予定よりもかかってしまうが,研究協力者との物理的な距離が短くなったことで,打ち合わせにかかる費用と時間を削減できることと,その他旅費等を物品購入に充てることで,埋め合わせていく予定である.
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Causes of Carryover |
購入予定としていたウェアラブルデバイスの購入を行わなかったことと,実験にかかわる消耗品の購入を行わなかったことにより若干の残金が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降に,上記の物品の購入費用に充てる予定である.
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