2017 Fiscal Year Research-status Report
生体情報に基づく学習者状態に応じた自主学習支援システムの開発
Project/Area Number |
16K16175
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
長谷川 達人 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (10736862)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 学習支援システム / ウェアラブルデバイス / 機械学習 / 記憶度合い推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに準備を行った生体情報計測環境と英単語回答情報収集アプリケーションを用いて,本年度は被験者タスクの設計,予備実験,被験者計測実験,実験データの解析までを実施した. 本研究では,生体情報に基づき効率的な自主学習を支援する環境を目指している.特に,現在は英単語学習に焦点を当て,英単語を記憶していて回答したのか否かを認識できないかという点を研究している.これを実現するため,被験者タスクはアイウェアであるJINS MEMEを着用しながら英単語学習活動を実施してもらい,同時に正解データとなる記憶度合いの情報を被験者に入力してもらう,という形式で設計を行った.予備実験では,上記のタスクを2名で実施し,主にデータが正常に計測できていることを確認した. 予備実験の結果を経て,被験者10名に対して被験者計測実験を実施し,JINS MEMEのセンサデータと回答情報を収集した.10名のデータに対して,センサデータを用いた機械学習システムで頻繁に用いられる特徴量を抽出し,特徴量選択後にSVMによって学習者の記憶度合いを推定するという問題設定で機械学習モデルの構築と評価を実施した.実験の結果,記憶度合い5段階を65%,覚えているか否かという2値分類では89%の推定精度で認識ができることを確認した.本結果は他人のデータでモデルを学習させ自身のデータで評価を行うLOSO-CVで評価を行っている.一方,自身のデータが学習できることを想定して評価を行った場合,5値分類で72%,2値分類で93%の推定精度が実現できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,本年度は被験者計測実験を行い,計測データのスクリーニングまでが完了している予定であった.現状では,データ分析の第一段階を概ね完了していることから,当初の計画以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年は当初の計画より順調に研究が進んだ反面,いくつか課題も見えてきた.一つは,5値分類の推定精度が高くないことであり,もう一つは,自己データを学習できることで推定精度が向上する,すなわち個人依存があり,推定精度の向上には個人適応が必要となってくるという点である. 当初の計画では,次年度はデータの分析を引き続き行い,分析結果を学習モデルとして学習支援システムに導入し,導入したシステムを実際に運用した場合の「学習効果」を評価する予定であった.しかし,研究を遂行する上でわかってきた上記の課題を解決することと学習効果の評価を行うことを考えた時,前者を解決した上で後者を実施すべきと考える.それにより,本研究の目指す効率的な学習支援がより優れたものになるであろうことや,今後様々な研究への寄与につながるであろうと考える. 以上より,次年度には新たに発見した上述の課題解決のための手法を検討し,本課題に対する推定精度の向上を目指すこととする.上述の課題解決には1年は要すると見込んでいるが,進捗が想定以上に良かった場合,当初計画していた実際の学習支援システムへの応用とシステムの評価を実施していく.
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Causes of Carryover |
本年度は,研究代表者の所属異動後の初年度であり,異動に伴う研究環境の変化が大きい年度となった.これに伴い研究成果に遅れが出ることはなんとか回避できたが,研究成果の公表には遅れが生じた.したがって,本年度予算の一部を次年度予算とし,学会発表や論文投稿にかかる費用として計上する.
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