2018 Fiscal Year Annual Research Report
Recent changes in atmospheric water cycles in the Arctic and Antarctic
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16K16190
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Research Institution | Institute for Environmental Sciences |
Principal Investigator |
大島 和裕 公益財団法人環境科学技術研究所, 環境影響研究部, 任期付研究員 (40400006)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 北極 / 南極 / 大気水循環 / 気候変動 / 水蒸気輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
北極と南極の両極域では,近年の気候変動に伴って様々な大気・海洋・陸域の変化が観測されているが,その一翼を担う水循環に関する研究はあまり調査が進んでいない状況であった。本課題は,我々の先行成果(Oshima and Yamazaki 2004, 2006)を踏まえ,両極域における大気水循環に関する近年変化の解明を目的として実施した。 前年度までは,北極域および南極域における水蒸気量とその輸送量に対する過去40年間の長期変化について,大気再解析データを用いて調査を行った(大島・山崎 2017,Oshima and Yamazaki 2017)。今年度はそれらの結果を踏まえ,水蒸気輸送の近年変化に関する地域的特徴を調査した結果,両地域ともに季節ごと,地域ごとに異なる水蒸気輸送の空間分布が見られることが明らかになった。一例として,夏季(8月)の北極域においては,低気圧活動に伴って北極海からシベリアへ運ばれる水蒸気輸送が強まる傾向を示した。これは,シベリアの陸域水循環へ影響を及ぼしている可能性を示唆する。以上の結果は国際学会および国内学会で発表するとともに,北極の水蒸気輸送と密接に関係するシベリアの大気水循環について総説にまとめた(Oshima and Yamazaki 2019)。 今後の展開として,本課題で得られた成果のうち北極に関する結果は,分担の基盤B課題で実施しているテーマと関連しており,今後はこれまでの成果を発展させて環北極域の水循環研究を進めたい。
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