2017 Fiscal Year Research-status Report
高エネルギーリン酸化合物が引き起こすゲノム不安定性に関する研究
Project/Area Number |
16K16195
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐々 彰 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任助教 (10738347)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | DNA損傷 / リボヌクレオチド / DNA修復 / 酵素 / 突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) DNA中に取り込まれたリボヌクレオチドについて、rG及び8-oxo-rGをモデル基質として試験管内における修復機構の解析を行った。まず、リボヌクレオチド除去修復酵素であるRNase H2は、rGを効率良く除去したのに対して、8-oxo-rGに対する活性は顕著に低かった。また、酸化損傷に対する塩基除去修復酵素8オキソグアニンDNAグリコシラーゼ (OGG1) は、8-oxo-rGを認識してDNAに結合できるものの、損傷を切断する活性を全く示さなかった。つまり、リボヌクレオチド除去修復及び塩基除去修復は、酸化型リボヌクレオチドに対して有効な修復機構ではない事を見出した。
(2) 本研究では、DNA中のリボヌクレオチドが引き起こすゲノム不安定性をヒト細胞内で解析することを試みている。そのために、ゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いて、ヒトBリンパ芽球細胞TK6においてリボヌクレオチド除去修復酵素RNase H2の欠損を試みた。その結果、片方のアレルを欠損させたヘテロノックアウト株を樹立することに成功したが、両アレルを欠損させたホモノックアウト株を作製することはできなかった。 この結果から、RNase H2の完全欠損は致死性である可能性を考慮し、RNase H2の活性に関わるアミノ酸残基に変異を導入したノックイン株の樹立を試みた。しかし、同様に両アレルに変異が導入された株は得られなかった。以上から、RNase H2のリボヌクレオチド除去活性は、細胞の生存自体に重要な役割を担う可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに、in vitroの実験系でDNA中のrG及び8-oxo-rGの修復メカニズムの解析を行うことができた。また、ヒトTK6細胞株においてRNase H2の完全欠損株は得られなかったものの、CRISPR/Cas9を用いた効率的な遺伝子改変方法を確立できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ヒトTK6細胞株においてリボヌクレオチドの修復に関与すると思われる遺伝子群の改変を試みる予定である。また、リボヌクレオチドを部位特異的に導入したシャトルベクターを用いて、ヒト細胞内におけるリボヌクレオチドの突然変異誘発能を解析する。
|
Causes of Carryover |
正規価格で購入予定だった自動細胞計数装置について、展示品を安価で購入したことにより残額が生じた。当該残額は、次年度において研究成果発表のための学会参加費に充てる。
|
Research Products
(10 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Effect of Sugar Backbone on Translesion Synthesis, Repair, and Mutagenic Potential of 7,8-Dihydro-8-oxoguanine2017
Author(s)
Sassa A, Caglayan M, Rodriguez Y, Beard WA, Wilson SH, Nohmi T, Honma M, Yasui M, Ura K
Organizer
Environmental Mutagenesis & Genomics Society 48th Annual Meeting
Int'l Joint Research
-