2018 Fiscal Year Research-status Report
高エネルギーリン酸化合物が引き起こすゲノム不安定性に関する研究
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16K16195
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐々 彰 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任助教 (10738347)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DNA損傷 / リボヌクレオチド / DNA修復 / 突然変異 / ゲノム / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内では、DNA複製中にしばしばRNA前駆体であるリボヌクレオチドがゲノムに取り込まれ、その蓄積は細胞に様々な異常を引き起こすと考えられる。本研究は、DNAに取り込まれたリボヌクレオチドが誘発するゲノム不安定化とその分子機構を明らかにすることを目的とする。2018年度は、ヒト細胞においてDNA中に取り込まれたリボヌクレオチドの突然変異誘発能を明らかにした。 具体的には、モデル基質としてリボグアノシン(rG)及び8-オキソリボグアノシン(8-oxo-rG)をsupFレポーター遺伝子上に導入したシャトルベクターを作製し、それらをヒトBリンパ芽球細胞TK6に導入した。その後細胞内で複製されたDNAを抽出し、supF上に生じた突然変異の頻度及びスペクトラムを決定した。その結果、supF上のrGはコントロールとして用いたdGと比べて約4倍、8-oxo-rGは約2倍高い突然変異頻度を示した。詳細なスペクトラム解析の結果、rGは主に欠失変異、8-oxo-rGは一塩基置換を引き起こす傾向が見られた。つまり、DNAに取り込まれたリボヌクレオチドは、たった一分子であっても高い突然変異誘発能を示す事が示唆された。 以上の研究成果について日本遺伝学会及び日本環境変異原学会で公表すると共に、本研究に関する総説を国際誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リボヌクレオチドの突然変異解析に使用する遺伝子導入装置を変更したことで、細胞への遺伝子導入条件の最適化に時間を要した。そのため、当初の実験計画から遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
TK6において、CRISPR/Cas9を用いてリボヌクレオチド除去修復に関与すると思われる修復因子群の欠損株樹立を進める。合わせて、既に樹立済みの欠損株においてrG及び8-oxo-rGの突然変異誘発頻度及び変異スペクトラムの解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度に実施予定だった実験(シャトルベクターを用いた突然変異解析)が、遺伝子導入装置を変更したことで最適条件の再検討により遅延し、引き続き来年度に行うことになった。そのため、次年度に実施する突然変異解析のために当該助成金を繰り越して使用する。
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Research Products
(13 results)