2017 Fiscal Year Research-status Report
思春期前のフタル酸エステル曝露が第二次性徴発来へ及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
16K16200
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (90752907)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フタル酸エステル / 第二次性徴 / 一斉分析条件検討 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、思春期前の尿中フタル酸エステル類曝露が、その後の第二次性徴発来に与える影響を明らかにすることを目的とした。 平成29年度は、昨年度に引き続き7歳児より朝一番尿の回収および調査票を用いて12歳の第二次性徴の情報を回収した。 LC/MS/MSを用いた尿中フタル酸エステル類代謝物の一斉分析の条件検討を昨年度に引き続き実施した。今年度は、昨年度、尿中フタル酸エステル類代謝物の条件検討を行った5化合物(MBzP、MEHP、MEOHP、MEHHP、MiNP)に新たに5化合物(MiBP、 MnBP、 MECPP、 cx-MiNP、 OH-MiNP)を加え、分析条件検討を実施した。分析対象の10化合物について、MS条件の最適化を再度行った上、各化合物の定量イオン/確認イオンを設定した。また、化合物のカラムの保持率を改善するために分析カラムBEHC18→CEH Phenyl Hexyl (1.7um 2.1x100mm)、流速0.35→0.25mL/分、グラジエント条件を変更した。これらの検討により、MEHP、 MECPP、 MiNP、 cx-MiNP、 OH-MiNPについては0.05ng/mL~0.5ng/mLまでの濃度で高感度かつCVが2.2%~7.7%高精度での分析が可能となった。しかし、MnBP、 MiBP、 MBzP、 MEHHP、 MEOHPについては今後の精度管理の改善が必要であると考えられたため、今後も引き続き分析条件の検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
尿の回収および第二次性徴に関する質問票の回収については概ね計画通りに進んでいる。尿中のフタル酸エステル代謝物の測定に関して、分析条件の初期条件検討に時間を要し、今年度も精度管理などの条件検討が引き続き必要であるため「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、尿中フタル酸エステル類代謝物の機器分析条件検討を行い、今年度は児の尿を用いた一斉分析を開始する。第二次性徴に関する質問票のデータおよび7歳の尿がある1500名の尿中のフタル酸エステル類代謝物濃度の測定値を用いて、12歳までの第二次性徴発来 との関連を解析する。具体的には、小学校6年間の身長・体重から発育曲線を作成し、身長のスパートを評価し第二次性徴発来の指標 とする。またTanner分類を元に、男児は陰毛の発毛および声変わり、女児は乳房の発育、陰毛の発毛、および初経の開始を第二次性徴 発来の有無をアウトカムとし、尿中代謝物濃度との関連を重回帰分析およびロジスティック回帰分析を用いて明らかにする。
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Causes of Carryover |
分析試薬など分析業務に関する備品購入が次年度も必要であるため次年度使用額が生じた。 平成30年度に予定している分析検体数がおおいため、移動相や標準溶液、溶媒などの調整に必要な試薬を購入する予定である。
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