2016 Fiscal Year Research-status Report
革新的底質浄化を可能とする堆積物微生物燃料電池の栄養塩溶出抑制ポテンシャルの解明
Project/Area Number |
16K16205
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
窪田 恵一 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (50707510)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 堆積物微生物燃料電池 / 底質改善 / 栄養塩溶出 / 閉鎖性水域 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京湾より採取した高い汚染状況にある底質を用いて堆積物微生物燃料電池を適用可能な溶出試験装置の構築を試みるとともに、堆積物微生物燃料電池適用の有無による栄養塩溶出速度の検討を行った。カソードからの酸素透過によって生じる底質からの栄養塩溶出への影響を抑えるため、新規の溶出試験装置として塩橋を用いた装置を作製した。塩橋の利用によって、底質への酸素透過による影響を排除することが可能であったものの、装置の内部抵抗が塩橋を用いない場合に比べ7倍程度高くなり、堆積物微生物燃料電池の発電性能の低下が生じた。そこで、塩橋の改良による内部抵抗の低減や、カソードに白金触媒塗布のカーボンクロスを用いることによる開回路電圧の上昇といった対策を講じ、最終的に最大出力時の電流密度は10 mA/m2と以前実施された塩橋を用いない室内試験の結果と同程度まで改善が可能であった。この装置を用いて堆積物微生物燃料電池の適用の有無による栄養塩溶出速度の比較を行った結果、適用することで非適用時に比べ全窒素の溶出速度は約16%低減することが可能であり、窒素成分の中でも特にアンモニア性窒素の溶出抑制効果が高かった。また、装置の発電性能によって、窒素成分の溶出抑制効果は影響を受けることが明らかとなり、より高い発電性能でその抑制効果が高かった。リン成分についても堆積物微生物燃料電池の適用によって10%程度の抑制効果がみられたが、発電性能による抑制効果への影響はみられず、栄養塩の種類による溶出抑制効果の違いを明らかにする必要があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主たる研究内容であった堆積物微生物燃料電池が適用可能な栄養塩溶出抑制装置の構築については、従来の試験装置の発電性能を確保しつつ、栄養塩溶出速度の測定が可能であった。これにより、堆積物微生物燃料電池適用の有無による溶出速度の測定が可能となり、適用によって溶出速度が1割以上も抑制可能であることや、発電性能の変化によって窒素成分抑制効果が影響を受けることが示された。一方で、本年度予定されていた日照条件の影響把握については、溶出試験装置の改善に手間取り、試験開始のための準備は整っているものの実施には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
日照条件による影響評価については、試験開始のための物品や試薬などの調達は完了しており、速やかに試験を実施する。このほか予定されている研究内容については、当初の研究計画に沿って実施を行う。
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Research Products
(5 results)