2016 Fiscal Year Research-status Report
難分解性化学物質を分解可能な新規塩分耐性型微生物の探索
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16K16210
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
粟田 貴宣 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (80724905)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 難分解性化学物質 / 微生物分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマでは難分解性化学物質を無害化可能な微生物の探索を目的としている。目的達成のためにまずは実環境で難分解性化学物質が分解されるかどうかについて異なる環境サンプルを用いて評価を行った。愛知県内の河川および汽水湖を対象にサンプリングを行い、温度、塩分、pH、溶存酸素濃度、各イオン組成、溶存有機物質濃度などの測定を行った。底泥および現地水を嫌気条件下ではバイアル瓶、好気条件下では腰高シャーレに添加をし、前培養によって試験温度に順応させた後に対象物質を添加し、約4週間の培養後に対象物質を測定した。サンプリングは現在2回行っており、秋季および冬季に行った。それらをサンプリング時の温度で試験した結果、アントラセンは河川上流に行くに従って嫌気および好気で分解活性が上昇する傾向があった。一方でペンタクロロフェノールは環境による違いは少なく、分解活性が低いことが確認できた。農薬のモデルとして用いたフェニトロチオンは高い分解活性を示したが、その中では河口付近の分解が比較的低い結果になった。船舶塗装殺菌剤のモデルとして用いたトリブチル錫は抽出過程での揮発または吸着が大きく、分析方法の改善が必要という結果になった。微生物の取得を目的とした培養を河口付近の底泥サンプルを用いて開始した。河口のサンプルを用いた理由としては、塩分含有環境下での難分解性化学物質分解微生物についての知見が非常に少ないためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実環境サンプリングは年間4回を予定しており、異なる季節によって差が生じるかを確認する予定である。その中で2回は終了しており、順調に進んでいる。分解試験については少し遅れ気味ではあるが、許容範囲内である。微生物の集積培養もスタートしており、現在のところは分解活性を得ていることから集積培養可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はサンプリングを継続して行い、分解試験を行う予定である。それぞれの測定、試験終了後に統計解析を行い、微生物活性と環境因子の関係を明らかにするとともに、集積された微生物の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
一部の試薬や標準品について新規購入が必要であったものの、研究室で以前に購入したものがほとんど使用可能であり微生物の解析を大規模に行わなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
微生物の塩基配列解析を数回予定しており、これらは外注を予定しているため、その費用にあてる予定である。また、得られた成果を学会発表するための旅費に使用する予定である。
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