2017 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluating sorption properties of ionic organic contaminants using ion exchange resins
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16K16216
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
遠藤 智司 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任准教授(テニュアトラック) (30748934)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イオン性有機汚染物質 / イオン交換樹脂 / 吸着等温線 / 疎水性 / 競合吸着 / 吸着係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二年度(最終年度)は前年度の結果を元にイオン交換樹脂を脂肪族系の樹脂に絞り、対象とするイオン性物質の数を拡大して実験を行った。陰イオン交換樹脂2種類について、18種類の様々な構造を持つ陰イオン性有機化合物の吸着等温線を測定し、それぞれから吸着係数を算出した。得られた吸着係数を文献中の吸着・分配係数と比較したところ、筋タンパク/水分配係数と強いlog-log相関があることがわかった。特に弱塩基性陰イオン交換樹脂において強い相関が見られた(最大でR2 = 0.95)。有機イオンに関する吸着係数のデータとしてこれほど高い相関を示した例は研究代表者の知る限りない。一方、同じタンパク質でも血清アルブミン/水分配係数との相関はそれほど強くはなく(R2 < 0.55)、アルブミン結合の特異性が影響していると考えられる。 イオン交換樹脂による吸着のデータをさらに拡充するため、海外研究機関と協力し共同でイオン交換カラムを用いたHPLC保持係数k’の測定を行った(k’は吸着係数と比例する)。強酸性陽イオン交換カラムでは61種類の陽イオン性物質、弱酸性陽イオン交換カラムでは24種類の陽イオン性物質、弱塩基性陰イオン交換カラムでは66種類の陰イオン性物質のデータを蓄積した。それぞれのデータセットを土壌有機炭素/水、粘土鉱物/水、血清アルブミン/水、筋タンパク質/水分配係数と比較したところ、ほとんどすべての場合でオクタノール/水分配係数(一般的な指標値)を用いるよりも高い相関が得られた。 本研究ではイオン性有機化合物のイオン交換樹脂への吸着係数について、一定条件で測定された大きなデータセットを構築した。イオン交換樹脂への吸着係数は環境中・生体中における分配・吸着係数と高い相関を示す場合も見られ、後者の予測に用いる可能性が示された。
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Research Products
(4 results)