2017 Fiscal Year Research-status Report
病院排水中に残留する医薬品成分を対象にした新規水処理技術の開発と有効性評価
Project/Area Number |
16K16218
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
東 剛志 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (10634222)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医薬品類 / 生物処理 / 高度処理 / 病院排水 / 除去効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
病院排水中に存在する医薬品成分の除去に有効な処理方法について検討を行うため、ラボスケールでの水処理実験を行い、除去効率の評価を行った。本研究では、下水処理場の水処理工程で主たる処理工程となっている生物処理に加えて、オゾンによる高度処理と、オゾン処理に過酸化水素やUV照射を併用する促進酸化処理法についてもあわせて検討を試みた。各処理実験では、反応開始後経時的に反応溶液を採取し、時間経過に伴う減衰の挙動を解析することで反応速度論に基づいた減衰の解析を行い、各種医薬品成分毎に反応速度係数と半減期の推計を行った。 その結果、生物処理による処理工程では、対象とした医薬品成分のうち概ね3~4割の成分について90%以上の除去率が得られていた。一方で、生物処理で十分な除去が見込めない成分も多く存在しており、carbamazepine、cyclophosphamide、ethenzamide、iomeprol、iopamidol、indomethacin、olmesartan、tegafurについては、生物処理による除去率は0~22%と低く、難分解性を示す成分であると考えられた。一方で、オゾンによる処理では、対象とした医薬品成分の大部分が反応開始後数分~10分以内でほぼ全量が除去されること、オゾンにUVや過酸化水素を併用することで付加的な除去効率への影響が得られるとともに、除去可能な成分が増加することを明らかにした。また、これらの各処理工程における医薬品成分の除去率と物理化学的特性や化学構造との関連性について評価を試みたところ、分子の電子密度分布と除去効果に関連性がみられ、除去メカニズムを解析する際の指標として有効となりうる可能性を示唆していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた予定通り、病院排水中に存在する医薬品成分を対象とした各種水処理技術の除去効果を明らかにする事が出来た。生物処理に加えて、高度処理技術としてオゾンをベースとした処理法についても合わせた包括的な評価を行えた事は、本研究課題により得られた成果の有益性を高める上で、有意義な知見となりうると考えられる。以上の点から、本研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、研究計画の通り病院から下水道に放流する前段階で排水処理を行う対策の効果についての評価を行う。医薬品の除去に有効な水処理装置を病院側が導入することによる下水処理場への汚濁負荷低減影響や、河川環境への環境リスク緩和措置効果の影響についても評価を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
理由:分子挙動シミュレーションソフトの経費が当初の予定よりも安く抑えられたため未使用額が生じた。 使用計画:除去実験の実施回数を増やしてさらなる検討を行うことより、より詳細な除去効率の解析を行うとともに、実験成果の信頼性の向上に繋げる。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Distribution of six anticancer drugs and a variety of other pharmaceuticals, and their sorption onto sediments, in an urban Japanese river2017
Author(s)
Azuma T., Arima N., Tsukada A., Hirami S., Matsuoka R., Moriwake R., Ishiuchi H., Inoyama T., Teranishi Y., Yamaoka M., Ishida M., Hisamatsu K., Yunoki A., Mino Y.
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Journal Title
Environmental Science and Pollution Research
Volume: 24
Pages: 1901-19030
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Distribution of pharmaceuticals in clinical wastewater from medical institutions and development of advanced water treatment systems2017
Author(s)
Azuma T., Otomo K., Kunitou M., Shimizu M., Hosomaru K., Mikata S., Ishida M., Hisamatsu K., Yunoki A., Hisamatsu K., Yunoki A., Arima N., Tsukada A., Hirami S., Matsuoka R., Moriwake R., Ishiuchi H., Inoyama T., Teranishi Y., Yamaoka M., Mino Y., Tenma T., Fujimoto Y. Hayashi T.
Organizer
15th International Congress of Therapeutic Drug Monitoring & Clinical Toxicology 2017 (IATDMCT 2017)
Int'l Joint Research / Invited
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