2017 Fiscal Year Research-status Report
UAVを用いた海洋環境モニタリングのための環境推定手法
Project/Area Number |
16K16221
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
榎本 洸一郎 新潟大学, 自然科学系, 助教 (80736603)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 深層学習 / 環境推定 / UAV / 画像計測 / 干潟 |
Outline of Annual Research Achievements |
水産資源や海洋閑居管理のための降雨札画像を用いたモニタリングシステムの開発を目的とし,干潟や沿岸部などの海洋環境におけるUAV活用のための空撮画像撮影法を検討した.当該年度は新たにUAV用マルチスペクトルカメラを導入し,沖縄本島瀬底島沿岸部および屋我地島の干潟,北海道浦河町の浅海域において撮影試験を実施した.撮影実験の結果,特に浅海域において,近赤外線や遠赤外線の波長の長い帯域において,海面や霧の影響を受けづらい傾向を確認できた. また沖縄本島瀬底島沿岸にて,波や風などの海面のゆらぎの影響を軽減する手法を検討し,実験を行った.実験では,海上10m,30mでUAVを1秒~10秒ホバリング(静止)させた動画を撮影した.ホバリング中は完全に動画位置は静止していると仮定し,時間方向の輝度値に注目した.輝度値が高い場合,鏡面反射成分を含むとし,時間方向で最も輝度値の低い値をその画素の輝度値とし描画した.その結果,空間解像度の劣化は見られるが,鏡面反射成分が低減できることを確認した.この成果は,海面や水面が映り込む空撮画像に対して有効な手段であると考えられる. 干潟環境の自動識別については,沖縄本島屋我地島の干潟オルソ画像に対して,実験を行った.今年度は,新たに深層学習(CNN)を導入し,オルソ画像から目視にて,砂場,水面(クリーク),その他(木や道路)などの3クラスの学習データを作り,学習,識別した.その結果,水面89.6%,砂場91.2%,その他94.0%の精度を得た. これらの成果は,新潟大学学生ブランチ,動画像実利用化ワークショップ2018(DIA2018),マリーンITワークショップ2018新潟にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
干潟や沿岸部の海洋環境におけるUAV活用のための空撮画像撮影法については,前年度の結果を踏まえて今年度も撮影し,干潟の地形情報識別手法の際にも当該データを活用し実験した.このため十分な撮影方式を検証できた.また得られた空撮画像から太陽光による海面・水面からの反射領域の除去アルゴリズムについて,UAVをホバリングさせ,時間方向の情報を用いることで,反射領域の低減できることを示した. また精製されたパノラマ画像からの干潟や沿岸などの地形・海洋環境推定手法については,深層学習(CNN)を導入し,十分な精度が得られることが確認できた.一方で今年度導入したマルチスペクトルカメラの情報を学習データに含めることができなかったため,継続して検討する必要がある.また,今年度,UAVで撮影した干潟画像では,より細かい底質情報の識別は困難であることが明らかになった(高度100m).このため,より低空で空間解像度の高い空撮画像を取得し,地形・海洋環境推定手法について検討する必要がある. 以上より,予定していた内容及び成果を達成した一方で,個々の手法ではよりアルゴリズムの精査や設計が必要である.このため,このような進捗状況と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り,空撮画像からの太陽光による海面・水面からの反射領域の除去アルゴリズムの改良・精度向上を行う.特に今年度は,輝度値の時系列情報のうち最小値を使うという単純なアルゴリズムであった.このため,より現実に適したモデルを設計することで精度向上が期待される. またパノラマ画像からの干潟や沿岸などの地形・海洋環境推定手法については,今年度の空撮画像では,空間解像度が低く,より詳細な底質識別が困難であった.このため次年度は空間解像度の高い空撮画像を撮影し,より多くの環境を推定できるか検証する予定である. これらの研究成果を論文にまとめ,画像工学分野や水産分野などの国内外の学会および学会誌への投稿を予定している.
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