2016 Fiscal Year Research-status Report
音声による種の識別システムを用いた鳥類モニタリング手法の開発
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16K16222
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 素子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (50456828)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 長期モニタリング / 音声解析 / さえずり |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は解析環境の整備のため,パソコンや必要なソフトウェアの準備を行った.そのうえで,課題であった長期録音データからさえずりを抽出するアルゴリズムの開発を行った.しかし,抽出できたさえずりは音声ベースでは12%~52%,種ベースでは50%~100%にとどまり,検出できるかどうかは録音条件に大きく左右されることが明らかになった.この内容は,日本生態学会第64回大会(東京)にて,ポスター発表を行った.この研究で得られた課題として,録音するときに2チャンネルであることで,その後の解析が大きく制限されることが明らかになった.つまり,音声の方向といった情報が抜け落ちてしまうため,同時に発声している二個体を区別できないといった問題がある.これを簡単に解決するためには,録音チャンネル数を増やすことであると言える.しかし,これまで収集したさえずり音声は全て1~2チャンネルの録音であり,そのままではこの問題に対処することが困難であるということが明らかになった. 平成29年度には,この点を踏まえ,チャンネル数を増やして新規録音を行い解析に用いることで,大幅な検出率の上昇を見込んでいる. 同時に,野外での音声モニタリングにおいては現在2チャンネルが主流であり,3チャンネル以上の録音が可能な野外録音システムはない.このことを考えると,2チャンネル録音においても検出・識別精度を上げるための手法についても検討を重ねる必要があるといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備的な解析を進めた段階で,これまでに収集したさえずりサンプルを解析に用いることに限界があることが判明した.解析自体は可能であるが,精度が低くなってしまう問題点の克服が難しい.このことから,日本の森林性鳥類を対象に,録音チャンネル数を増やして新たにさえずりサンプルを取得する必要性があると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集したさえずりサンプルを用いた解析は続けていく予定である.一方で,録音チャンネル数を増やして新たに録音するさえずりサンプルを用いた解析を加え,より精度の高い検出・識別を行う.
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Causes of Carryover |
今年度に予備的解析を行った結果,既存のさえずりサンプルを整理するために計上していた人件費を今年度に使用するのではなく,来年度新しく取得したさえずりサンプルの整理のため,および既存のさえずりサンプルを精度よく解析できる見込みができてから利用するほうが,効果的に使えると判断したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には新しくさえずりサンプルを録音する.次年度使用額については,物品費・旅費・人件費/謝金等にあてる予定である.
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