2018 Fiscal Year Annual Research Report
Recovery process of frog populations in paddy fields after a large scale disaster
Project/Area Number |
16K16224
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
松島 野枝 東邦大学, 理学部, 訪問研究員 (20714281)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 景観遺伝学 / 両生類 / 震災復興 / 水田 / 耕作放棄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、福島第一原子力災害事故の被災地域における水田生態系の生物の回復過程をカエル類を対象として予測することである。災害は人の作った環境に依存している生物の生活も一変させる。東北大震災及び福島第一原発事故後、避難地域では広範囲で水田の耕作放棄が起こり、水田に生息しているカエル類の生息地が失われた。そこで、水田の周辺環境と耕作放棄がカエルの生息状況に与える影響を解析した。震災前の植生・土地利用情報から、震災前・後のカエル類の生息分布を予測した。 水田再開からのカエル類個体群の回復の過程を予測するために、広域(阿武隈高地を含む福島県沿岸域)での集団構造と、稲作が再開しつつある福島県南相馬市・相馬市を中心とした2つの範囲を対象に、野外でトウキョウダルマガエルとニホンアカガエルの遺伝子サンプルを収集し、集団遺伝学的解析を行った。各種のマイクロサテライト遺伝子型を調べた後、環境と遺伝的距離の関係性を調べ、少なくとも震災以前の状況では沿岸平野部内では移動を妨げる障壁はみられなかった。 加えて、水田耕作に依存した生態が耕作放棄という環境変化によって変化する可能性を調査した。福島県沿岸域において従来の水田環境と震災によって耕作放棄された場所にできた湿地環境の合計12地点にレコーダーを設置し、カエル類の鳴き声を録音し環境による繁殖期の違いを比較した。ここでの環境の違いとは、主に繁殖期に産卵場所に水が満たされる時期が違う事が大きく異なることを想定している。種によっては生息環境の湛水時期の違いによって繁殖時期が異なることを支持するデータが得られた。
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