2018 Fiscal Year Research-status Report
Usefulness of 'gyotaku' for conservation and citizen sciences
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16K16225
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Research Institution | Shiraumegakuen College |
Principal Investigator |
宮崎 佑介 白梅学園短期大学, 保育科, 講師(移行) (10721631)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 市民科学(Citizen Science) / 魚類 / 魚拓 / 自然史 / 分布 / 博物館 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道、東京湾に隣接する自治体、宮崎県を対象に、NTTタウンページに「釣具・釣餌店」、「釣船」として掲載されている店舗にアンケート用紙等を送付し、魚拓の所有の有無、調査の可否などについて調査を行った。その後、このアンケート調査の結果に基づき、調査の許可が得られた店舗を実際に訪ねるフィールド調査も実施した。この調査の実施の過程より、魚拓には所有権と著作権の二つの権利が関わっているため、Citizen Scienceの調査対象としては不適であることが示唆されたが、それでも一定の魚拓情報を収集することはできた。ここで収集された魚拓情報の多くに採集場所と時間の情報が付随しており、過去の生物多様性情報(のvoucher)としての役割を果たすものも認められ、さらに個体群絶滅が強く疑われる種(東京湾のアオギス)や絶滅危惧種(イトウとアカメ)の情報も含まれていたものの、群集生態学・生物地理学といった観点からの統計解析に足るような十分なデータ量の収集には至らなかった。このため、データペーパーやCitizen Scienceの観点にもとづく形での論文としての公表準備を進めているところである。 また、本研究事例に基づく日本型市民科学の在り方や課題についても整理を行ったとともに、市民データの活用方法の事例や国内におけるCitizen Scienceの事例についての解説や意見も取りまとめた。これに加え、Citizen ScienceやOpen Scienceに関心のある研究者の方々との意見交換などを経て、それまでに着眼点を持っていなかった残存する生物の痕跡を用いたDNA解析の検討といった新たな研究の着想にも至った。さらに、教科書としても位置づけられるような書籍の刊行も行い、本研究成果を含む魚類学や市民科学の普及啓発を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2年目までの遅延の挽回を図ったものの、3年目は調査の実施に留まり、本研究の主要な調査結果の公表にはたどり着けなかった。このため、1年の延長申請を行い、補助事業期間の延長が承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に、調査の実施自体は終了しているため、残りのデータの抽出・分析、及び結果を論文として公表していく作業に専念する。
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Causes of Carryover |
未公表の研究成果について、学会発表や論文化などによって公開を進める。このため、データ取得・分析のための物品費と謝金、そして学会・研究会等に参加するための旅費、論文公表のための英文校閲費や出版費用として、主に繰越金を活用する。
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