2019 Fiscal Year Annual Research Report
Usefulness of 'gyotaku' for conservation and citizen sciences
Project/Area Number |
16K16225
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Research Institution | Shiraumegakuen College |
Principal Investigator |
宮崎 佑介 白梅学園短期大学, 保育科, 講師(移行) (10721631)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 魚拓 / Citizen Science / 過去の生物多様性情報 / 時系列分析 / 博物館資料 / 種同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度までの調査結果に基づき、遊漁業界(タウンページ「釣具・釣餌店」及び「釣船」掲載店)において所有されている魚拓の作製年代(すなわち、魚類の採捕年)に着目した状態空間モデルによる時系列分析を行った。この統計解析では、遊漁業界においては1970年代に急激に魚拓の保有枚数が減少することが示された。実際に、一部の調査店舗の店主からは、時間が経過した魚拓は紫外線・紫煙・海風などの影響を受けて劣化したため廃棄した旨の聞き取り内容とかかわるものであるが、この他にも廃業や店舗の改築の際に魚拓が廃棄されており、魚拓という過去の生物多様性情報は時間制限を有すことが明らかとなった。また、量販店の台頭、店主の高齢化や後継者の不在といった現代的な要因も併せると、過去の生物多様性情報としての魚拓は早急な救出が必要な資料とみなせることが明らかとなった。 他方、山形県鶴岡市・酒田市の博物館施設においては最古級の魚拓が保管されていることが知られていたものの、その魚拓の詳細な作製年代や枚数等については整理されていなかったため、調査を実施してこれを明らかにした。これによって、現在知られている最古の魚拓を含む江戸時代末期から昭和初期にかけての大量の魚拓が保管されていることが明らかとなり、50年以上前の魚拓資料については、遊漁業界だけではなく、博物館等に対象を拡げた調査で収集できる可能性も明らかにした。 さらに、2018年度までの調査で得たデータに基づき、特有の外部形態を有している種や、鱗の枚数で識別が可能な種群については魚拓のみに基づく種同定が可能であることを示唆する分析結果を得たとともに、魚拓からDNAを抽出した種同定についても共同研究者の協力を得て試行した。
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