2021 Fiscal Year Research-status Report
組換えBrevibacillus属細菌を用いたセルロースからの直接エタノール生産
Project/Area Number |
16K16229
|
Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
柳澤 満則 宮城大学, 食産業学群, 准教授 (00647000)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | Brevibacillus / エタノール / ピルビン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
Brevibacillus choshinensis NBRC15518について、ピルビン酸キナーゼの活性が低いことがわかっていたため、Brevibacillus brevis NBRC100599由来のピルビン酸キナーゼ遺伝子を導入した。その結果、ピルビン酸キナーゼの活性が格段に上昇した。そこで、ピルビン酸キナーゼ活性を強化したBrevibacillus choshinensis NBRC15518、もともとピルビン酸キナーゼ活性が高いことがわかっているBrevibacillus brevis NBRC100599、JCM8970の3種類をグルコースが含まれる培地で培養したが、いずれもピルビン酸は検出されなかった。 NBRC100599株、JCM8970株への遺伝子導入も想定し、安定して遺伝子導入が可能な方法を検討した。その結果、大腸菌から抽出したプラスミドをそのまま使うのではなく、一旦NBRC15518株に導入して抽出したプラスミドを使うことにより、安定した効率で遺伝子の導入が可能であることを確かめた。また、NBRC100599株、JCM8970株にエタノールを生産するための遺伝子を導入し、発現させることにも成功した。しかしながら、これらの組換え菌はグルコースからエタノールを生産しなかった。 3種類のBrevibacillus属細菌について、培地に含まれる糖の種類を変化させてそれぞれ培養したところ、ほとんどの場合で培養液のpHが上昇したが、JCM8970株をマンニトールが含まれる培地で培養した時のみpHが低下した。この時、培養液には乳酸とピルビン酸が含まれていることを確かめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、セルロースから直接エタノールを生産可能な組換えBrevibacillusを構築することになっていた。 セルロースの分解においては、必要となるエンド型セルラーゼ、エキソ型セルラーゼ、およびβグルコシダーゼの3種類の酵素をBrevibacillusにそれぞれ分泌させることに成功しているが、それらを組み合わせてセルロースをグルコースに分解することができていない状態である。 エタノールの生産においては、Brevibacillusに必要な遺伝子を発現させること、Brevibacillusの代謝を解析することができているが、組換えBrevibacillusによりグルコースからエタノールを生産することができていない状態である。 以上のことから、進捗状況はやや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
Brevibacillusに分泌させるエンド型セルラーゼとエキソ型セルラーゼについて、それぞれ活性の高い種類をスクリーニングする。さらに、βグルコシダーゼも含めた3種類の酵素を組み合わせてBrevibacillusに導入して分泌させることで、組換えBrevibacillusによるセルロースからのグルコースの生産を試みる。また、この組換えBrevibacillusを酵母や組換え大腸菌KO11株などのエタノール生産微生物と共培養することにより、セルロースからエタノールを生産することにも取り組む。 一方で、グルコースをエタノールに変換できる組換えBrevibacillusの構築も同時に進める。具体的には、NBRC15518株、NBRC100599株、JCM8970株の3株について、糖系や補酵素バランスに着目した代謝物質の解析、ピルビン酸キナーゼ活性の強化、培養に用いる培地の種類、培養時の酸素供給の抑制により、グルコースからピルビン酸が生成するような条件を明らかにする。その後、明らかにした条件に、エタノールを生産するための遺伝子を発現させた組換えBrevibacillusを応用することでグルコースをエタノールに変換させる。
|
Causes of Carryover |
当初、学生を実験補助員として雇用することで積極的に実験を進めることを検討していたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、対面授業以外のための来学や学内での活動を学生に依頼しにくい状態が一定期間続いた。そのため、実験補助員を雇用できなかった分や、実験を進めることができなかった分の次年度使用額が生じた。 使用計画については、実験に必要となる基本的な試薬類、器具類、キット類を購入するために使用して研究を推進していく予定である。
|