2016 Fiscal Year Research-status Report
双対平坦理論を用いたレアメタル安定供給のための国際資源ネットワーク分析
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16K16231
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
森岡 涼子 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 特別研究員 (90415323)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際貿易 / 金属資源 / 将来推計 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際貿易データの将来推計手法の確立およびテストデータによる将来推計の試算を行った。提案手法は、貿易の輸出入表を貿易構造と貿易量に分解し、2つの分解値それぞれを将来推計して最後に2つの推計結果を合成して将来の貿易表を得るものである。各品目や各国の過去の時系列を延長して将来推計をするのではなく、国間の貿易における関係性と加工中間物同士の関係に関する貿易情報を推計に取り入れている点に独自性がある。 推計手順は、まず各年の貿易表に対して情報幾何的分解を用いて貿易構造と貿易量に分解し、貿易構造について時系列解析を適用し対象とする年の構造を算出する。貿易量は、外部データベースに使われているシナリオのパラメータを用いて回帰分析を行い、シナリオに基づいて対象年の構造行列を算出する。最後に対象年の貿易構造と貿易量の推計値を情報幾何的分解の逆変換である合成法を用いて合成し、推計表を完成する。この推計プロセスについて、貿易構造に関する将来シナリオは存在しないため、構造に関しては過去の遷移に基づいた延長推計となっている。 提案手法の妥当性検証のため、過去データにおいていくつかのデータを抜き出し、残りのデータを推定するテストを行った。その結果、推定した貿易構造は過去の変動の傾向を再現できており、貿易量は外部パラメータにより精度よく回帰できることを確認した。手法についての論文は査読中である。提案手法および試算の結果は、金額ベースについてはEcoBalanceで、物量ベースについては日本LCA学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた手法開発を概ね完成することができた。実際のデータに適用する際には計算精度を上げるための改良や、計算効率化のための変数の次元を増やす変更が生じると見込まれる。これらの改良は次年度に実データを収集後随時行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、推計に用いる過去データおよび将来シナリオとそのパラメータの選定および集計を行う。過去データにおいて国数の変動や国の範囲の違いに起因してデータベース間の照合が困難なケースも存在するため、データ作成のプロトコルを決定する。また、世界のすべての国を網羅した将来シナリオは存在しないため、将来シナリオに関して過去データと同様のパラメータセットを作成する際、欠損値を補完する方法を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度に論文投稿を予定していており、その校閲および出版費用にあてるため繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資源関連ジャーナルに論文を投稿する際の英文校閲および出版費用として使用する。
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