2017 Fiscal Year Research-status Report
自然放射性物質による放射線被ばく防護研究―化石燃料を安心して使うために
Project/Area Number |
16K16234
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
岩岡 和輝 弘前大学, 被ばく医療総合研究所, 助教 (70466051)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放射性物質 / 被ばく防護 |
Outline of Annual Research Achievements |
産業の発展や開発に伴い、化石燃料の利用が加速している。化石燃料には、自然由来の放射性物質が含まれており、その利用によって外部被ばくおよび内部被ばくが引き起こされる。国際放射線防護委員会(ICRP)は化石燃料などの天然資源からの放射線被ばくを防護するために、利用者の被ばく管理について勧告した。さらに国際原子力機関(IAEA)おいて管理のための基準が設定されようとしている。我が国においては、自然放射性物質を含む天然資源からの被ばくの実態について調査が近年実施され、特定の天然資源については原子力規制庁より一定の被ばくの管理目安が導入されつつある(NORMガイドライン)。一方で、化石燃料については、その使用方法を含め、被ばくの状況についての情報が乏しく、規制管理の必要性を議論できるほどの十分な研究結果が得られていないため、その実態の解明が急がれている。本研究は、包括的な調査を通じて化石燃料等からの一般の作業者や公衆の被ばくの実態を明らかにすることを目的とした研究課題である。本年度は、化石燃料の放射能濃度等の調査を実施し、自然核種(ウラン238系列核種やトリウム232系列核種など)の国際的管理目安よりも概ね低いレベルであることが分かった。また、化石燃料等の事業所での実態を踏まえれば被ばく線量は問題とならないレベルであることが分かった。さらに、化石燃料等の天然資源による吸入被ばくの原因の一つとして放射性ガスが挙げられるが、その放射性ガスの濃度測定器が精度よく測定できるように校正装置の開発を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に得られた成果を学会発表・論文発表するために期間延長したが、当初計画していた化石燃料の濃度レベルの調査は概ね順調に進んだ。吸入被ばくの原因である放射性ガスの濃度測定器のための校正場の構築を行ったことで、より精度の高い調査につながる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた成果の取りまとめを行い、学会発表や論文発表を行う。また、産業の発展とともに意図せずに化石燃料中の自然放射性核種が環境中に漏えいし、将来に環境中の放射線量が上昇する場合が考えられるため、特定の地域の放射線量のバックグラウンドの調査研究の実施の可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度は、これまで得られた成果のとりまとめを実施し、学会発表と論文発表を行う。学会発表に必要な経費を今年度執行できなかったため、次年度に使用する。論文についてはすでに投稿し査読の結果待ちであり、掲載料等の必要な経費を執行できなかったため、次年度に必要に応じて使用する。
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