2016 Fiscal Year Research-status Report
大阪湾44年の海洋環境変化から類推した栄養管理の在り方に関する研究
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16K16238
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 千賀 神戸大学, 先端融合研究環, 助教 (40456702)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 赤潮 / 公共用水域の水質測定調査結果 / 大阪湾 / 新瀬戸内法 / 瀬戸内海環境保全特別措置法 / 瀬戸内海環境保全基本計画 / 沿岸域の管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
1972年度から現在に至るまで定期的かつ膨大なデータ量を有する「公共用水域の水質測定調査結果」の冊子及び電子データを加工の上でデータベースを作成した。赤潮の変動を示すモデルを作成する場合は、数値として扱いにくい視覚的・慣習的な定義ではなく、定量化された赤潮の指標を用いる必要がある。近隣の広島湾を対象とした大内(1982)の研究では、慣例的に赤潮の判定基準として用いられている項目を「赤潮を示す環境要因」として使用している。本研究でも、その方法に準じて、赤潮判定基準として使用されてきた環境要因を赤潮発生の有無によらず「赤潮指標」と定義し、データベースに組み込んだ。 なお、赤潮の動態を知るには赤潮発生期だけに着目するのではなく、赤潮の生活環を通しての把握が必要である。本研究で対象とする閉鎖性海域 大阪湾では、赤潮が冬期も発生するため周年データを用いることとした。夏季のみ扱うのではなく、冬季データも含めて赤潮発生の有無に寄らず調査データを扱うことで、細胞誘導期を含めた赤潮の動態解析が可能となった。具体的には、平成28年度は大阪湾44年分のデータベースの作成に重点を置き、データの安定性をはかる上でのモデルの当てはめも同時進行でおこなっていったことから、論文化についてはまだ準備段階ではあるが関係学会等での研究成果の発表に繋がっている。さらには、この成果をベースとした、環境教育、データベース管理の重要性などの発展研究にまで裾野が広がりつつもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究室(神戸大学先端融合研究環 鈴木千賀研究室)は、「2016年6月に、近隣棟の研究室(組織・教授名 略)が引き起こした大規模水損事故(先方組織長文書より一部引用)」の直撃にあい、研究室・実験室ともに全壊。1年近く経過した今もその復旧等作業が続いている。一部、発表業績の流出、発表のとりやめ、旧ソフトでの代用や機器等の購入控えなどもあったが、ただ、その被害の中にあっても遅延無きように最大限に科研費研究活動に心血を注いだ次第である。教員らには、危機意識の欠落なきよう、日々の業務につとめて頂きたいと願う。
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Strategy for Future Research Activity |
瀬戸内海環境保全基本計画は、瀬戸内海環境保全特別措置法第3条に基づき政府が策定する瀬戸内海の環境の保全に関する基本となるべき計画である。C.Suzuki(2015)を手本としつつ、より説明率の高い重回帰モデルを作成し、瀬戸内海環境保全基本計画の新視点に反映させる。本研究は、新瀬戸内法のより良き実現にもつながる研究として位置づけられるものである。 これに資するため、大阪湾を対象とした「赤潮三変動期間」及び「各種規制」に着目した解析をおこない、赤潮(異常基礎生産)と水質規制との関係性をより明確にすることを目的として研究を推進する。平成29年度は、とりわけ、大阪湾の湾奥部を対象として「赤潮三変動期間」並びに「各種規制」数年前のデータの組み合わせから安定した重回帰モデルを作成する。そのモデルを規制直前及び直後のデータに当てはめて、寄与率の変化を見る。この成果をベースとした、データベース管理の重要性などの発展研究にも注視していけたらとも考えている。
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Causes of Carryover |
本研究室(神戸大学先端融合研究環 鈴木千賀研究室)は、「2016年6月に、近隣棟の研究室(組織・教授名 略)が引き起こした大規模水損事故(先方組織長文書より一部引用)」の直撃にあい、研究室・実験室ともに全壊。1年近く経過した今もその復旧等作業が続いている。一部、発表業績の流出、発表のとりやめ、旧ソフトでの代用や機器等の購入控えなどが生じたための使用額変更である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大規模水損事故の影響により、発表業績の流出、発表取りやめ、旧ソフトでの代用や機器等の購入控えなどが生じているため、異動先の大学で新たに環境を再整備して研究につとめたい。そのための使用にあてるものである。
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[Presentation] 新旧海洋基本計画および各年次報告に関する研究2016
Author(s)
有馬正和,井上裕貴,掛江朋子,高翔,鈴木千賀,東條泰大,脇田和美,渡邉啓介,渡辺喜保,牧野光琢,中原裕幸
Organizer
平成28(2016)年 第8回日本海洋政策学会年次大会
Place of Presentation
早稲田大学 小野記念講堂
Year and Date
2016-12-03 – 2016-12-03
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