2021 Fiscal Year Research-status Report
大阪湾44年の海洋環境変化から類推した栄養管理の在り方に関する研究
Project/Area Number |
16K16238
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鈴木 千賀 九州大学, 科学技術イノベーション政策教育研究センター, 助教 (40456702)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 赤潮 / 水質総量規制 / 重回帰 / 大阪湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はこれまでの成果を経た上で再解析(精査)を実施した。減少期では、いずれの海域においても、COD、DO、全りんが説明変数に選ばれており、中でもCODが赤潮発生に強い影響を与えていることが示唆された。調整済み説明率は減少期と維持期の間で減少しており、水質環境の変化によって減少期のモデルでは説明できない状況であることがわかった。維持期における海域別の標準偏回帰係数の比較では、ハ海域についてはモデルの採用基準の満たすものが見られなかった。維持期では赤潮発生に強い影響を与えていたCODが選ばれなかったが一方で全りんが強い影響を与えていることが示唆された。赤潮発生要因を水質総量規制の視点から考えると、CODの規制開始から数年はCODが主な赤潮発生の要因であり、その後、イ海域・ロ海域については全りんが主な要因へと変化した。その後全りん・全窒素の規制に伴い、全ての領域においてモデル不成立となった。以上、水質総量規制による削減が赤潮発生要因に影響を与えていることが示唆された。減少期から維持期においては主な赤潮発生要因がCODから全りんへと変化した。イ海域・ロ海域のみで全りんが説明変数として選択された原因としては、大阪湾に流入する河川の中で流域面積が最も広く、CODが最も大きくなっている淀川から放出された懸濁粒子群がイ海域・ロ海域に滞留していることが考えられた。維持期から変動期については、イ海域・ロ海域では維持期に全りんが主な赤潮発生要因に代わり、変動期のモデルは作成出来なかった。イ海域・ロ海域について、変動期にモデルが作成できなくなった原因として、全りんや全窒素が規制されたことによる制限要因の変化が挙げられるが大阪湾における全りんは60%が陸起源であるため、陸域からの排水が制限されたことで制限要因が変化したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で国際会議の取りやめやオンライン化が続いているがそれ以外に支障はない。
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Strategy for Future Research Activity |
成果のまとめに加えて、最終年度での国際会議発表等を実施予定でいる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により発表機会の延期があったためとそれに伴いまとめに時間を要するため。
科研費と連動した事業で発表費用や出版費用の支出が出来たために実質支出ゼロ円に見えるだけの形であり、2021年度も順調な研究進行があった(補助事業に中断はない)。
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