2016 Fiscal Year Research-status Report
課題解決型から多分野発散型の政策へ:琵琶湖保全政策の変化に影響を与えた要因の解明
Project/Area Number |
16K16241
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
平山 奈央子 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (30623847)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 琵琶湖 / 政策過程論 / 滋賀県議会 / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,1970年以降の琵琶湖保全政策の変化と変化に影響を与えた要因を定量的に明らかにすることを目的としている。具体的には,「政策の変化」として,滋賀県議会会議録のテキストマイニングから県議会の議論におけるトピックの出現率を算出する。 これまでの進捗状況として,対象となる滋賀県議会会議録から議題目次の中に「湖」「水」「川」といった水資源に関係する単語の他,水域に関係する外来種名等 が含まれている議題を抽出し,それらの議題の質問及び答弁をテキストデータ化し,分析用ソフトIBM SPSS Text Analytics for Surveysを用いて分析を行った. その結果,政策トピックとしては,「水質」「水量調整」「河川改修」「琵琶湖総合開発」「生物」「レジャー」「景観」「下水道」「富栄養化」「石けん運動」などが挙げられた.これらのトピックについて年度ごとの出現回数を確認したところ,例えば,1990年頃はダム建設について多く言及されている.これは近江盆地の農地面積拡大が続いたことによる灌漑用水不足が問題となったため用水供給の更なる安定化を図るべく農林水産省近畿農政局によって灌漑専用の永源寺第2ダムが計画されていた.また,高島市の北川第一ダム,北川第二ダムをあわせた北川ダム建設事業が国に国庫補助事業として採択されていたことが分かった. また,1990年は他の年と比べて「水質」と「下水道」に関する言及が多くなっている.これについて時代背景を確認したところ,未処理の生活排水が原因で水質環境基準の達成が遅れていたため,同年,水質汚濁防止法の一部を改正する法律が施行されたことが関係しているのではないかと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象資料となる滋賀県議会の会議録は1986年までは冊子体のみ,1987年以降はHPで公開されている.そのため,前者については滋賀県庁内にある県民情報室で冊子をコピーし,後者についてはHPの内容をコピーすることとなる. 1970年から1986年までの滋賀県議会会議録は滋賀県庁内の県民情報室及び議会図書館にしか所蔵されておらず,持ち出しができず,閲覧は平日の9:00から17:00と限られている.そのため,1970年から1986年までの会議録のコピーとテキスト化に時間を要し,当初の予定より遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,会議録の「コピー」と「テキスト化」,それぞれの作業者を増やす. また,対象となる議題を抽出する作業を代表者が実施しやすいように,事前にある程度の抽出候補を挙げてもらう.
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Causes of Carryover |
紙媒体の文書をテキスト化(データ化)するにあたり当初は自動読み取りソフトによって実施する予定であったが,読み取り精度が悪く,アルバイトに入力をお願いすることとした.しかし急な変更であったため適当な作業者が見つからず,その分の人件費等を使用しなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後作業者を増やして文書のテキスト化を行うための人件費,また,分析結果の発表に係る旅費として使用する予定である.
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Research Products
(4 results)