2016 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者グループホームにおける居住者間の相互作用に着目した環境デザイン
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16K16249
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Research Institution | The Hyogo Institute of Assistive Technology |
Principal Investigator |
北 順子 (宮野順子) 兵庫県立福祉のまちづくり研究所, その他部局等, 非常勤研究員 (30733711)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知症 / 高齢者 / グループホーム / グループリビング / 生活環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知症高齢者グループホームにおける居住者間の相互作用に着目し、人的環境と物理的環境の双方を捉える包括的な環境デザインのあり方を探るものである。他の居住者の存在は、居住者にとって非常に大きな環境要素のひとつであり、これに着目する。環境の影響を繊細に受ける認知症高齢者の主観的意味付けを把握するために、少数事例における質的研究方法を採用する。 2016年度は、2つの調査を実施した。1つは認知症介護者実践者研修受講者に対する質問紙調査である。調査は3回実施した。合計で239人の受講者から回答を得た。認知症高齢者の生活環境に対する課題、改善点、工夫について、総数1331のデータを得た。これらの分析結果は、第32回国際アルツハイマー病協会国際会議、老年社会科学会、日本福祉のまちづくり学会大会等で口頭発表予定である。 2つめは、認知症高齢者を含む高齢者が共同生活を営む制度外の住まい、グループリビングにおける実態調査である。2016年度は北海道2件、関東3件、関西3件の調査を実施した。これらの結果は、日本建築学会にて口頭発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グループホームの実態調査を予定したが、初年度は実践者研修の受講生を対象とした質問紙調査に変更した。これは所属研究機関が実施する研修を利用したもので、より効果的に量的な補足が可能であり、質的調査を信頼性を高めるために実施することが適切であると判断したためである。 また、これと並行してグループリビング実態調査を進めている。ここでは認知症高齢者と認知症ではない高齢者が共同居住をおこなう生活環境が構築されており、認知症高齢者を取り巻く人的環境についての示唆が得られている。 研究方法に変更があるものの、進捗については概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の所属研究機関が変更になったため、従前の研究機関の全面的な協力が得られにくくなった。引き続き連携に尽力するとともに、今後は、在宅の認知症高齢者の関連機関(認知症家族の会)等と関係を強化していき、研究協力機関の発掘を行う。 グループリビングに関しては、今年度も全国の事例にアプローチするとともに、より調査対象に深く迫る視点を持ちながら引き続き調査を実施する。
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