2019 Fiscal Year Research-status Report
フレイルと脳老化の進展に影響する社会環境・生活因子の解明
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16K16251
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
荻田 美穂子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (00455031)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フレイル / 認知機能 / 社会環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域高齢者と生活習慣病外来に通院する高齢者の2つの集団を対象に、社会環境・生活因子に着目してフレイルおよび脳老化に影響する要因を明らかにし、ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの二方向からの介護予防対策の方法を提示することを目指すものである。 平成30~31年度にかけては、高齢糖尿病患者を対象にフレイルおよび脳老化の進展評価を行った。2013年に血糖管理や認知・バランス機能に関する調査が行われた糖尿病患者を対象に、今回、フレイルや脳老化の進展評価のための調査を行った。これまでに調査協力が得られ、データ構築が終了している65歳以上154名中 評価項目に未欠損であった93名を解析対象として、高齢糖尿病患者の血糖管理と6年後のフレイル発症との関連の検討を行った。J-CHSで評価されたフレイルの割合は、全体で17.2%、6年前のHbA1c区分別(<7.0/>=7.0and7.5</>=7.5and8.0</>=8.0)で9.8%/16.7%/25.0%/33.3%であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果、HbA1c<7.0を参照水準とした場合におけるHbA1c>=8.0でのフレイル発症に有意な上昇を認めた(オッズ比, 95%信頼区間: 8.41, 1.23-57.6, p for trend=0.05)。高齢糖尿病患者においては、HbA1c8.0以上の不良な血糖管理状況が6年後のフレイル発症に関連している可能性が示唆された。次に、脳老化の進展評価では、MMSEで評価された6年後の認知機能の変化を見ると、約3割に機能低下または悪化を認めた。また、認知症病名がついているものが4名、認知症疑いが29名であった。そして、同対象者のうち約1/3が脳MRI検査を受けていた。今後はそれら所見を収集し、脳画像も合わせて脳老化進展の評価を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年12月末に、予定していた被験者への身体計測や認知機能テスト等の被験者へ接触して行う調査が終了した。その後診療録からの検査データの抽出や経過記録および検査所見の転記、解析可能なデータベースの構築、解析、論文化の予定であった。しかし、2020年2月末以後、COVID-19感染拡大防止の観点より臨床研究に伴う病院への入室が禁止され、現在診療録閲覧作業が中断している。
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Strategy for Future Research Activity |
調査フィールドとしている病院のCOVID-19感染拡大防止の方針に従い、臨床研究伴う病院への入室が許可されたら診療録調査を再開し、解析可能なデータベースの構築を行う。入室禁止が解除されたら直ちに調査が開始できるよう、調査員はすでに確保しており、作業プロトコールも確立している。データベース構築後は、生活習慣病を有する高齢者の脳老化の進展を抑制する因子を社会環境因子および生活因子に着眼し抽出していく。
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Causes of Carryover |
次年度に予定している診療録調査およびデータ整理・構築ののための人件費、成果報告のための英文校正料や旅費が繰り越された。調査再開後、診療録調査のための人件費、学会発表および論文投稿にかかる費用に使用していく。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 一大学病院の外来糖尿病患者の血圧管理と注意機能低下(6年追跡):SHIP-FD研究2020
Author(s)
宮松直美, 村田伸, 片寄亮, 岡本智子, 市川瑞希, 東さおり, 炭本佑佳, 森野勝太郎, 宮澤伊都子, 卯木智, 前川聡, 荻田美穂子
Organizer
第63回日本糖尿病学会年次学術集会
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[Presentation] 糖尿病患者における蛋白質摂取頻度と握力低下との関連:SHIP-FD研究2020
Author(s)
金丸恭子, 片寄亮, 村田伸, 岡本智子, 市川瑞希, 森野勝太郎, 宮澤伊都子, 卯木智, 前川聡, 宮松直美, 荻田美穂子
Organizer
第63回日本糖尿病学会年次学術集会
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[Presentation] 糖尿病患者における過去の運動習慣と各体組成との関連:SHIP-FD研究2020
Author(s)
炭本佑佳, 宮松直美, 村田伸, 片寄亮, 岡本智子, 市川瑞希, 東さおり, 森野勝太郎, 宮澤伊都子, 卯木智, 前川聡, 荻田美穂子
Organizer
第63回日本糖尿病学会年次学術集会
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[Presentation] 片寄亮, 岡本智子, 市川瑞希, 金丸恭子, 村田伸, 森野勝太郎, 宮澤伊都子, 卯木智, 前川聡, 宮松直美, 荻田美穂子2020
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[Presentation] 一大学病院糖尿病患者のアルブミン値と6年後のサルコペニアの可能性との関連:SHIP-FD研究2020
Author(s)
岡本智子, 宮松直美, 村田伸, 片寄亮, 金丸恭子,炭本佑佳, 東さおり, 市川瑞希, 森野勝太郎, 宮澤伊都子, 卯木智, 前川聡, 荻田美穂子
Organizer
第63回日本糖尿病学会年次学術集会