2021 Fiscal Year Research-status Report
フレイルと脳老化の進展に影響する社会環境・生活因子の解明
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16K16251
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
荻田 美穂子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (00455031)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知機能 / 社会環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域高齢者と生活習慣病外来に通院する高齢者の2つの集団を対象に、社会環境・生活因子に着目してフレイルおよび脳老化に影響する要因を明らか にし、ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの二方向からの介護予防対策の方法を提示することを目指すものである。 令和3年度は、これまでに構築した地域高齢者のデータベースを用いて、社会的フレイルと認知機能との関連について横断的に検討した。社会的フレイルは、山田らが開発した「社会的フレイルインデックス」を引用し、基本的社会活動、社会資源、社会参加、一般的資源の4項目について各項目1点の計4点満点で評価した。分析対象者3962名中、社会的フレイルの各項目の該当者割合は、近所づき合い不良8.5%、独居11.4%、社会参加なし17.1%、経済状況不良15.5%であった。該当項目数0個(健常)59.6%、1個以上(プレフレイル)30.1%、2個以上(フレイル)10.3%を占めた。そして、社会的フレイル因子における健常群、プレフレイル群、フレイル群それぞれの認知機能低下者の割合は、28.3%、36.6%、44.7%(p for trend < 0.001)で、社会的フレイルと認知機能低下との関連が示された。次に、生活習慣病(糖尿病)外来に通院する高齢者を対象にフレイルおよび脳老化の進展評価を行うための調査を行い、298名から調査協力を得た。また、同対象に実施された6年前の調査データと突合し、脳老化の進展を検討するためのデータベースの構築を完遂した。脳老化の進展評価として、Mini Mental State Examination(以下MMSE)、脳画像所見データを収集しデータベース化した。MMSE評価から、6年後に約3割の認知機能低下または悪化を確認した。今後は、脳画像所見を含めた脳老化進展評価を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染拡大防止の観点より臨床研究に伴う病院への入室が禁止され、調査の完遂が遅延した。診療録からの検査データの抽出や経過記録および検査所見の転記まで終了したが、解析可能なデータベースの構築、解析、論文化を次年度に持ち越した。
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Strategy for Future Research Activity |
地域高齢者のデータベースを用いた解析では、認知フレイルをもたらす要因について前向きに検討をしていく。また、生活習慣病外来に通院する高齢者の調査データに関しては、引き続き解析可能なデータベース構築を行い、生活習慣病を有する高齢者の脳老化の進展を抑制する因子を社会環境因子および生活因子に着眼し抽出していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染対策措置の影響により調査完遂までに時間を要し、データベース構築および解析、論文執筆を次年度に持ち越した。よって、次年度繰越金は、データベース構築に伴う調査員への謝金及び英文校正、論文投稿費に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)