2017 Fiscal Year Research-status Report
父親の子育てを介した人間関係の広がりが家族に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
16K16252
|
Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
田辺 昌吾 四天王寺大学, 教育学部, 准教授 (00512831)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 父親 / 人間関係 / 子育て支援 / 地域性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究内容は、まず昨年度に実施した質問紙調査の結果を日本保育学会第70回大会において発表した(発表タイトル『保護者の園を介した人間関係の広がり-父母間の比較からの検討-』)。本発表では主に3つの内容(保護者の園を介した友人関係/パパ友・ママ友関係の質/パパ友・ママ友関係が次世代育成意識に及ぼす影響)について報告した。参観者との活発な議論が展開され、研究を進めていく上での多くの示唆を得た。本発表内容は現在論文化に向けて準備中である。 また、研究成果の一部として、書籍『家族・働き方・社会を変える父親への子育て支援』を共編著者として発刊した。本書のなかの4つの論考(「父親の子育て支援の具体的な取り組み」「地域子育て支援拠点施設における父親の子育て支援」「父親の子育て支援の専門性」「父親の子育て支援の課題と展望」)を担当し、研究成果を社会に還元することができた。また書籍の編集過程では他の執筆者と議論を重ね、父親への子育て支援について学びを深めることができた。この議論の内容をより深めるために、本書の内容を基にしたシンポジウムを日本保育学会第71回大会(平成30年5月)で開催する予定である。 さらに、父親支援の先進的な取り組みを行っている沖縄県A市の子育て支援施設を訪問し、取り組みの様子を参観するとともに施設職員へのインタビュー調査を実施した。調査の結果、地域の人間関係が密であることが、父親が子育てに参画しなくてもよい状況を作っている可能性があること、A市のように人口流出入の多い地域では特有の子育て支援が求められること、離婚率の高さは父親の子育てにも大きな影響を及ぼす可能性があること、などが明らかとなり、沖縄県という独自の地域性を有する場への調査から、改めて子育てが文化的な営みであり、そのことを研究枠組みに加えることの必要性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に実施した同一園での縦断調査(2度の質問紙調査)の結果、園を介した父親の人間関係の広がりが当初予測していたものよりも小さく、今年度調査対象園を増やし質問紙調査を実施する計画であったが、調査内容の再検討が必要となり、時間的な制約から調査実施を延期せざるを得なくなった。そのため研究計画より進度が遅れることとなった。 今年度は調査を実施することができなかったものの、前年度の調査結果の解析を進め、また先進的な取り組みを行っている施設への訪問調査を行ったことから、次年度実施する質問紙調査の内容の検討は概ねできている。調査対象園と個別の調整を行い、次年度早々にも調査を実施したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度、日本保育学会第70回大会において発表した内容を論文化するとともに、前年度に実施した調査結果の未公開内容を関連学会(日本発達心理学会等)において発表する。 また、今年度実施を延期した質問紙調査を年度内に2度実施し(平成30年6月および平成31年2月の予定)、研究全体の仮説検証を行い、得られた結果を保育現場にフィードバックする。 さらに、先進的な父親支援の取り組みを行っている施設を訪問し、質問紙調査の考察に反映させるとともに、父親が参画するイベントに積極的にかかわりをもつ。
|
Causes of Carryover |
質問紙調査の実施を次年度に延期したため、調査実施に係る印刷費、郵送費、データ処理費等が未執行となり、次年度使用額が生じた。次年度、質問紙調査を実施するとともに、先進的な取り組みを行っている施設への訪問調査を実施し、未使用額を執行する。
|
Research Products
(2 results)