2017 Fiscal Year Research-status Report
大麦と米の混炊飯および大麦粉添加パンの老化特性解析
Project/Area Number |
16K16261
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
露久保 美夏 東洋大学, 食環境科学部, 助教 (50646924)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 大麦 / パンケーキ / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,健康志向の高まりとともに関心が寄せられている大麦に注目し,調理性を詳細に調べるとともに,より嗜好性の高い調理品への活用を目指した研究を行っている。本研究課題では,デンプンの老化抑制効果を有していると予想される大麦の調理性について,飯やパン,その他加工食品も含めて大麦を添加することによる影響を明らかにすることとしている。大麦には米と同様にウルチ性とモチ性があるが,モチ性大麦の方がモチモチとした食感を有していることが消費者に好まれる傾向にあり,本研究においてもモチ性大麦を試料とした。 モチ性大麦を使用した調理品として,パンケーキにおける大麦粉添加の影響を調べた。乾燥丸麦を粉砕した粉末を試料として,小麦粉で調製したパンケーキを対照とし大麦粉末を0,20,50,70,100%の割合で置換したパンケーキについて,外観,重量,体積,高さ,色,硬さについて調べた。また,保存後の性状についても同様に測定を行った。その結果,大麦粉の添加量を増加させるにつれて生地の断面の気泡は減少し,体積は縮小する傾向にあり,高さが増加する反面直径が小さくなることがわかった。大麦粉100%置換は焼成前の生地に流動性がなく,中心まで火が通らず生焼けの状態となった。硬さについては,置換率が高くなるにつれてやわらかくなり,これには生地の流動性が関係していることが示唆された。これらのパンケーキを一晩4℃で保存すると,硬さは0%が最も硬く,20%,50%で柔らかいという結果であった。これらのことより,大麦粉添加パンケーキは置換率が高いと密度が高くやわらかいパンケーキとなり,保存後の老化抑制に寄与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米と大麦を混炊した麦飯についての調理性,老化特性解析を行うことも予定していたが,新たな機器を用いることによる実験方法の検討に時間を要しているため。このことより,パンケーキについての研究を同時に進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
麦飯の調理性や老化特性に関し,画像解析,物性測定を引き続き行い明らかにする。添加割合,炊飯条件などが炊飯後の麦飯に及ぼす影響,合わせて保存後の麦飯の性状に及ぼす影響などについて種々の条件を設定し,実験を行う。合わせて大麦粉添加パンの特性についても,添加する大麦の条件を割合や形状などの観点からも検討し,詳細な分析により老化抑制に与える影響について明らかにするための実験を実施する。
|
Causes of Carryover |
研究遂行にあたり使用する機器類に要する費用が予定より少額で購入できたため。また,実験時期の変更により必要機器類の使用時期が変わり購入を持ち越したため。 前年度予定していた実験機器,備品類の購入に使用し,またそれに伴う試薬類等の消耗品の購入を予定している。
|