2016 Fiscal Year Research-status Report
蛍光指紋によるマグロの鮮度および熟成度の非破壊モニタリング
Project/Area Number |
16K16262
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
柴田 真理朗 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (40590360)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 蛍光指紋 / ニューラルネットワーク / 鮮度 / 多変量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
マグロ試料としてメバチマグロを用い、比較的均一であり脂肪が少ない背側の赤身部位を用いた。まず、エアブラスト式フリーザーを用いて、凍結温度-40℃で試料を凍結させた。その後、試料を-80℃に設定した冷凍庫内で保存した。低温(0℃)、水中(17℃)および氷水(6~8℃)の3種類の解凍方法で解凍した試料表面の蛍光指紋を蛍光分光光度計、およびファイバプローブで測定した。次に、蛍光指紋を測定した部位を採取し、ATP、イノシン酸などの核酸物質をHPLCで測定し、鮮度指標であるK値を算出した。データはキャリブレーション群17サンプルとバリデーション群9サンプルの2群に分割した.さらに、蛍光以外の情報を削除した蛍光指紋データを説明変数、K値を目的変数として、PLS回帰分析およびニューラルネットワークで予測モデルを作成した。PLS解析では標準化と中心化の前処理を行った.一方、ニューラルネットワークの中間層の数の最適化、またネットワークの汎化性能を向上させるためにWeight decay正則化を検討した。核酸関連物質の蛍光指紋の解析によりK値推定に必要な領域はおおよそ励起光200-300 nm,蛍光200-400 nmの領域に存在することが分かった.PLSによる予測モデルは潜在変数が8で、バリデーション群の決定係数が0.90であった。他方、ニューラルネットワークの場合、中間層の数と決定係数は負の相関があること、また,中間層が10のときに決定係数が0.86と最大になることが分かった.Weight decay正則化では、γ=0.99996のときに決定係数は0.97と最大値を示した.正則化を行ったときのニューラルネットワークは極めて高い決定係数をもつことが分かった.以上より蛍光指紋による予測モデル構築にはニューラルネットワークが有効である可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定の冷凍条件を変化させた試料に関するデータ取得が未だ完了していないが、当初予定していなかったが、核酸関連物質の蛍光指紋のpH依存性に関するデータも取得できた。研究全体としては、ファイバーを用いたマグロ試料の蛍光指紋を測定する測定条件が決定したこと、バックデータである核酸関連物質の蛍光指紋が取れていること、さらにニューラルネットワークとPLSを用いたモデル構築に目途が立ったことから、研究期間内に当初予定した研究目標は達成できると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
冷凍条件を変化させた試料の蛍光指紋測定を行う。その他は、当初予定通り行う。また、蛍光のpH依存性なども考慮した上で、予測モデルへ反映させる解析手法の構築などより実際の現象を反映させた研究へと発展させる。
|