2016 Fiscal Year Research-status Report
脂溶性成分の吸収率が向上する植物油の網羅的検索と調理の影響について
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16K16269
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
坂本 裕香 (富山) 神戸学院大学, 栄養学部, 実験助手 (20368484)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植物油 / ケルセチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は脂溶性成分と植物油を用いて、膜透過性スクリーニングをPAMPA法を用いた人工膜透過性試験により網羅的に行い、脂溶性成分と植物油の相性を客観的に数値化し、適切な組み合わせを選択する。さらに調理した場合の脂溶性成分に対する影響も検証し、食品と植物油の相性を数値により具体化する事で、消費者に分かりやすく、生活習慣病などの改善に寄与する事を目標とする。 本年度は、まずリン脂質の存在下ではカロテノイドの吸収率が向上する事より、以後実験で用いるリン脂質含有量が高い植物油を選定するため、一般的な植物油(大豆油・ナタネ油・オリーブ油・コーン油・綿実油)について、薄層クロマトグラフィー(TLC)により各脂質成分を単離・精製し、ガスクロマトグラフィー(GC)により各脂質成分の量的・組成的分析を行った。 次に、当研究室において会合したポリフェノールをネイティブ電気泳動によって簡易的に分析する方法を構築していたため、脂溶性成分の代表として植物性食品に含まれるフラボノイドである「ケルセチン」の分子会合性を評価した。フラボノイドは、水溶液中において単量体・分子会合体として存在することが知られ、この分子会合体の形成は、食品の安定性や呈味性、さらには機能性分子としての吸収性や生理活性にも影響すると考えられている。 今後は、選定したコーン油と脂溶性成分「ケルセチン」を用いて、人工膜透過試験(PAMPA法)の条件を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
市販植物油ではその製造過程(脱ガム)でリン脂質を取り除くため、実験で用いるリン脂質含有量が高い植物油の選定について予定以上の時間が必要となったことや、研究室内の機器故障によりその対応に時間を要し、人工膜透過試験(PAMPA法)の条件検討の開始に至らなかったためやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
人工膜透過試験(PAMPA法)の条件検討について、バッファー(pHや塩濃度など)、ドナー(ケルセチンの濃度や、植物油:界面活性剤比など)を検証する。使用するプレートは高価なので再利用出来るように洗浄方法も含めて構築する。 Caco-2細胞(ヒト結腸癌由来株化細胞)層を用いた物質透過実験を用い、腸管における透過性を再確認する。
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Causes of Carryover |
実験進行がやや遅れているため、腸管透過性を評価するためのリン脂質塗布96穴プレート(PAMPAプレート)の購入を今年度は控えたため。また脂質組成分析に必要な、HPLCカラム、GCカラムは、現在使用しているカラムで対応できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
腸管透過性を評価するためのリン脂質塗布96穴プレート(PAMPAプレート)、HPLCカラム、GCカラムを購入予定である。
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