2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞培養系を用いた尿酸動態機能検定系の構築と天然物・食品由来成分の作用解析
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16K16273
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
安達 真一 宇都宮大学, 学内共同利用施設等, 特任助教 (10747041)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高尿酸血症 / 痛風 / 肝細胞 / ポリフェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞培養系および動物実験系を用いて高尿酸血症の予防・改善に効果的な天然物・食品由来成分を新たに見いだし、その作用メカニズムについて明らかとすることで、ヒトへ応用するための基礎的知見を得ることを目的とした。 高尿酸血症の原因のひとつとして、プリン体を多く含む食品の過剰摂取が挙げられる。プリン体は、肝臓においてキサンチンオキシダーゼなどの数種類の酵素により尿酸に代謝され、尿酸は血中に放出される。そこで培養肝細胞を用いて、尿酸の産生を抑制する天然物・食品由来成分の探索を行ったところ、尿酸産生を抑制する複数の化合物を見いだした。そのうちのひとつであるタキシフォリンは、シベリアカラマツなどの森林樹木やイチゴの花托に含まれるポリフェノールである。次に、プリン体誘導性高尿酸血症モデルマウスにおけるタキシフォリンの作用を検討した結果、投与量依存的に血漿尿酸値の上昇を抑制することが認められた。さらに肝臓中において尿酸レベルおよびキサンチンオキシダーゼ活性の低下が認められたことから、タキシフォリンの尿酸値低下作用のメカニズムは、肝臓におけるキサンチンオキシダーゼ活性の低下によるものであることが示唆された。今後は、培養肝細胞において尿酸産生抑制能を示した他の化合物についてもモデルマウスを用いてその有用性について検証し、その作用機序について検討する。また継続して高尿酸血症の予防・改善に効果的な天然物・食品由来成分の探索を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリフェノールを中心に天然物・食品由来成分を対象として、培養肝細胞において尿酸産生の抑制の評価を実施した。その中で複数の有効な化合物を見いだし、そのうちのタキシフォリンについては、動物レベルにおいても尿酸値低下作用を有することを検証することができた。さらにその作用機構の一端も明らかとすることができた。以上を総合的に鑑みると、現在のところ研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に見いだした細胞レベルで尿酸産生を抑制する残りの化合物について、動物レベルにおいても尿酸値低下作用を有するか検証するとともに、平成29年度も引き続き細胞培養系および動物実験系を用いて、高尿酸血症の予防・改善に効果的な天然物・食品由来成分の探索を行う。 モリンなど一部のポリフェノールが、肝臓での尿酸産生を抑制する一方で、腎臓での尿酸排泄も促進することが報告されている。そこで平成29年度は、動物レベルで尿酸値低下作用を示した化合物が、腎臓での尿酸排泄作用も促進するかについても検討を行う。
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Causes of Carryover |
物品費が計画した価格よりも安かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養系において見いだした候補物質の数が予想よりも多かったため、H29年度に行う動物実験系での評価の回数が増える見込みである。これにより生じる物品費の一部として使用する。
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