2016 Fiscal Year Research-status Report
プロバイオティクスに特異的に応答する新規パターン認識受容体と標的成分の解明
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16K16282
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小村 智美 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (10736515)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 線虫 / C. elegans / ビフィズス菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、食品の生理調節機能が世界的に注目され、そのひとつとしてプロバイオティクス(宿主に有益な保健効果を示す微生物)が挙げられる。1907年、ノーベル賞受賞者のメチニコフはヨーグルトに含まれる乳酸菌が長寿を導くとする「不老長寿説」を提唱し、線虫モデルを用いてその長寿効果をin vivoで初めて実証された(Ikeda et al., Appl. Environ. Microbiol., 2007; 73: 6404-9)。そこで広義の乳酸菌に含まれプロバイオティクスとして利用されているビフィズス菌について線虫の寿命や老化指標に与える影響を検証し、体内の酸化物質の蓄積や運動機能の低下が抑制されることを見出した。その過程で、ビフィズス菌を与えた線虫のマイクロアレイを実施したところ、遺伝子Xの顕著な発現上昇が認められた。最近、申請者は遺伝子XにGFP、咽頭部のmyo-3遺伝子にDsRedを繋いだトランスジェニック線虫の作製に成功した。myo-3::DsRedはいかなる環境下でも赤く光り、トランスジェニック線虫を容易に選別できるレポーターアッセイである。このトランスジェニック線虫にビフィズス菌などプロバイオティクスを与えるとGFPが顕著に誘導されることを確認した。そこでビフィズス菌体成分としてDNA、タンパク質、RNA、DNA-タンパク複合体の分画を作製し、トランスジェニック線虫に与えたところ、どの分画においてもビフィズス菌体給餌よりもGFPの発現が低下した。給餌した分画濃度が薄かった可能性が考えられたため、現在、菌体をDNaseやProteaseなどで酵素処理し、処理後の菌をトランスジェニック線虫に与えて発現評価することを検討中である。またビフィズス菌にトランスポゾンを挿入させたランダム変異株を作製し、網羅的にGFP発現に寄与する菌体成分のスクリーニング系の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
菌体分画物では、線虫に投与できる濃度に限りがあるため、明瞭な結果を得ることが困難であったが、酵素処理したビフィズス菌体をトランスジェニック線虫に与えることで、GFP発現に寄与する菌体成分を見つけ出せる可能性が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず菌体をDNaseやProteaseなどで酵素処理し、処理後の菌をトランスジェニック線虫に与えて発現評価する。またビフィズス菌にトランスポゾンを挿入させたランダム変異株の作製に挑戦し、網羅的にGFPをスクリーニングできる実験系の確立を目指す。
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Research Products
(1 results)