2016 Fiscal Year Research-status Report
地域住民の心身の健康に対して時間栄養学が果たす役割に関する横断・追跡研究
Project/Area Number |
16K16289
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
吉崎 貴大 東洋大学, 食環境科学部, 助教 (50732830)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 時間栄養学 / 栄養疫学 / 睡眠-覚醒リズム / 社会的ジェットラグ / 食生活 / 応用健康学 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病には食生活をはじめとした生活習慣の“量”と“質”の変化が関わるだけでなく、それらの“タイミング(時間的要因)”も影響している可能性がある。しかしながら、朝食をはじめとした食生活の時間的要因が体内時計の位相調節を介して、心身症状へ及ぼす影響については明らかでない。そこで、本研究は心身の健康に対して時間栄養学が果たす役割を検証することとした。平成28年度は関東近郊の大学に属する学生44名を対象とした断面研究を実施した。対象者には1週間にわたって腕時計型のアクティグラフ、加速度歩数計、小型の温度ロガーの装着を依頼した。さらに、習慣的な食生活状況と心身の健康に関する総合的な質問票(DHQ, DEBQ, IPAQ, PSQI, MEQ, CES-D, Chalder fatigue scale, 自覚症しらべ)への回答を依頼した。なお、期間中は食事・睡眠日誌を携帯させ、毎日の記録を依頼した。時計遺伝子多型(ClockおよびPeriod3)を評価するため、唾液採取も依頼した。解析では、1週間の睡眠-覚醒リズムの位相を特定し、平日と休日の位相差を算出した。その結果、睡眠-覚醒リズムの位相差が大きいことは、菓子類摂取量が多く、食事の質を示す食事バランススコアが低いといった関連を示した。現在は7日間の食事記録の栄養価計算をはじめ、得られたデータの全ての処理を進めており、今後、重回帰分析やロジスティック回帰分析を用いて、食生活の時間的要因と睡眠-覚醒リズムの位相差および心身の健康との関連について、遺伝的要因も含めて検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果は国内学会および海外誌にて報告した。さらに、蓄積されたデータについても学術論文として海外誌に投稿する準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降は、時計遺伝子多型や生体リズムの基礎的な評価に留まらず、地域住民における心身の健康に対して時間栄養学が果たす役割を検証していく予定であり、地域におけるフィールド、調査協力者および機関との調整が課題となる。
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Causes of Carryover |
平成28年度に得られたデータの内、一部のデータ処理が完了していない。そのため、その作業のために計上した予算分が次年度へと繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の未執行額については、未完了分のデータ処理にあてるため、H29年度に請求した助成金の使用計画が変更されることは無い。
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