2016 Fiscal Year Research-status Report
母マウスの食事誘導性肥満が仔マウスのアレルギー病態に及ぼす影響
Project/Area Number |
16K16290
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
今井 敦子 日本女子大学, 家政学部, 助教 (00580086)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 母子栄養 / 高脂肪食 / 脂肪組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
母マウスの食事誘導性肥満が仔マウスのアレルギー病態に及ぼす影響を解析することを目的に、高脂肪食を摂取させた母マウスから生まれた仔マウスを用い、新生仔期、10週齢、10ヶ月齢において解剖し、代謝・免疫機能について検討した。 ○新生仔期:出生仔マウスは出産した母マウスに授乳させ、新生仔期(Day0,3,7)に解剖した。胸腺細胞表面抗原解析では、胸腺未熟細胞であるCD4-CD8-細胞集団においてCD25-CD44+細胞およびCD25-CD44-細胞の比率がHF群で有意に低値を示した。またCD4+CD8+細胞の比率はHF群が有意に高値を示したが、CD4+CD8-細胞およびCD4-CD8+細胞比率はHF群が有意に低値を示した。褐色脂肪組織の組織学的解析では、脂肪滴面積において出生後3日目以降HF群が有意に高値を示し、褐色脂肪組織の白色化が認められた。 ○10週齢:出生仔マウスは出産した母マウスに授乳させ、3週齢で離乳した後は両群とも普通食を摂取させた。CD4+CD8-細胞はHF群が有意に低値、CD4-CD8+細胞比率はHF群が低値傾向を示した。褐色脂肪組織において脂肪滴面積はHF群が有意に高値を示した。 ○10カ月齢:3週齢で離乳した後、両群をそれぞれ高脂肪食摂取群と普通食摂取群に分け、計4群で飼育した。10ヶ月齢においてβ3-アドレナリン受容体刺激に対する反応性を検討した。7日間の刺激期間において母マウス高脂肪食摂取の影響により3,4日目に体重が有意に減少、血糖値は低値傾向、褐色脂肪組織重量は有意に高値、そけい部皮下脂肪重量は有意に低値であった。以上の結果より、β3-アドレナリン受容体刺激に対する反応性は母マウス高脂肪食摂取により亢進する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高脂肪食を摂取した母マウスから実験に必要な数の仔マウスを得るのに予定よりも時間を要し、初年度に実施する予定であった脂肪組織機能の解析の内、病理学的観察の実施が不十分である。また脂肪組織に多く発現するβ3-アドレナリン受容体刺激に対する反応性亢進は代謝・免疫機能に影響を及ぼしている可能性があり、今後解析を進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
出生仔マウスを老齢期まで飼育し、免疫老化の指標、抗原特異的免疫応答に及ぼす影響を解析予定である。今年度得られた新生児期、若齢期、中年期の解析結果と併せて、母マウス高脂肪食摂取が出生仔マウスの各ライフステージでの影響、アレルギーに及ぼす影響について解析を行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
当初実施予定であった脂肪組織の組織学的観察が未実施であり、次年度実施するために予算を繰り越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
脂肪組織の組織学的観察の用いる抗体や免疫染色用試薬を購入する予定である。
|