2016 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンD栄養状態判別のための簡易質問票の作成と臨床的妥当性の検討
Project/Area Number |
16K16292
|
Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
桑原 晶子 大阪樟蔭女子大学, 健康栄養学部, 准教授 (00582602)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 血清25-水酸化ビタミンD濃度 / 日照曝露時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定では、地域在住者300名程度を対象に、血清25-水酸化ビタミンD(25(OH)D)濃度の測定と同時に、簡易型自記式食事歴法質問票 (BDHQ) による食事調査、また習慣的な日照時間や日焼け止めの使用状況に関する設問を含む質問票にも回答させることで、血清25(OH)D濃度への寄与因子を検討し、ビタミンD不足・欠乏の簡易質問票を作成することを計画していた。しかし、確実にデータを採取するため、平成28年度は病院および福祉施設職員、ならびに女子学生を対象としてデータを採取することとした。 対象者は若年健常人68名(平均年齢33.6±13.0歳、M/F: 16/52)であり、血清25(OH)D濃度はLC-MS/MS法にて測定した。なお、調査は5~8月に行った。対象者の平均血清25(OH)D濃度は、15.9±5.2 ng/mLであり、ビタミンD充足・不足傾向群(20 ng/mL以上)14名、不足群(20 ng/mL未満) 54名であり、不足群で女性の割合が有意に高かった。血清25(OH)D濃度は、ビタミンD摂取量と有意な相関を示したが、エネルギーで補正すると関係は消失した。また、ビタミンD充足・不足傾向群、不足群とで簡易質問票の回答を比較したところ、ビタミンD充足・不足傾向群では、不足群に比し、「日焼け止め使用あり」の割合が有意に低く、「この1週間での1日平均日照曝露時間」のうち、1日30分以上の者の割合が有意に高かった。さらに、血清25(OH)D濃度に対する重回帰分析において、「男性」、「この1週間での1日平均日照曝露時間」が有意な正の寄与因子であった。1日の平均日照曝露時間のみが、血清25(OH)D濃度に有意な関係を示したが、より鋭敏にビタミンD栄養状態を反映させるには、日照時間帯についても詳細な質問を設ける必要が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にも示した通り、データを確実に採取するために、対象者を一般の地域在住者から病院、福祉施設職員および女子学生に変更したため、対象例数が予定よりも少数例となった。しかし、今回の調査で用いた習慣的な日照状況を把握する設問での限界点も把握することができたため、一部の対象者において紫外線測定器を使用した紫外線照射量の測定なども併せて行うことができた。これは質問票の精度を上げるためのデータとなりうる可能性があり、2年目以降の調査を発展させるのに有用となることが考えらえる。以上のような状況は、研究開始1年目としてはほぼ想定された研究の進展状況であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ビタミンD摂取量に大きく寄与するのは魚類およびきのこ類であり、平成28年度の食事調査に用いた簡易型自記式食事歴質問票(BDHQ)でも魚類およびきのこ類摂取に関する設問が設けられている。魚類については、「脂の乗った魚」、「脂が少なめの魚」の摂取頻度、きのこ類については、種類を問わない形で問われているが、ビタミンDを多く含む食品は、極めて限定性が高く、種類を明確にした形で設問を設けるほうが、ビタミンD摂取量をより鋭敏に反映できる可能性が考えられる。また、病院職員のデータにおいては、ビタミンD摂取量が過大評価されている傾向も見受けられた。そこで、平成29年度においては、女子学生15名程度を対象にBDHQに3日間の秤量記録法を併用した食事調査を2回行い、BDHQで算出されたビタミンD摂取量と秤量記録法で算出された摂取量との比較を行う。また、秤量記録法のデータから、ビタミンD摂取量に大きく寄与する特定の食品を検討する。さらに、血清25(OH)D濃度に対して、BDHQで算出されたビタミンD摂取量と秤量法で算出されたビタミンD摂取量のどちらが、より高い相関性を示すのかも検討する。ビタミンD摂取量に大きく寄与する特定の食品摂取頻度と、血清25(OH)D濃度との関係についても併せて検討するものとし、簡易質問票の精度を上げることを目指す。
|
Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」にも示した通り、平成28年度は確実にデータを採取しうる集団での調査に力を注いだ。そのため、当初予定していた件数の血清25(OH)D濃度およびその関連項目の分析を行うまでには至らなかった。このため、分析関連費用が次年度使用額となったものである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、病院職員等を中心にボランティアを募って、血清25(OH)D濃度およびその関連項目の血清intact-PTH濃度の測定を行うことで、血液検査費用が発生するため、平成28年度未使用となった助成金を使用する。なお、平成29年度分として請求した助成金については、当初の計画通りとして使用する。
|
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Relationship of vitamin D with skeletal muscle volume, muscle strength, and physical performance.2016
Author(s)
Kuwabara A, Tsugawa N, Ao M, Takaoka H, Aoyama K, Nakano T, Tanaka K.
Organizer
American Society for Bone and Mineral Research 38th Annual Meeting.
Place of Presentation
Georgia World Congress Center, Atlanta, Georgia, USA
Year and Date
2016-09-19
Int'l Joint Research