2016 Fiscal Year Research-status Report
フードアクセスの測定法に着目した高齢者の心血管疾患リスクに及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
16K16295
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
谷 友香子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 日本学術振興会特別研究員 (70735422)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 食環境 / フードアクセス |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の過半数が独居または高齢者のみの世帯となり、高齢者が自ら食料品を調達しなければならない。適切な栄養素の摂取には近くに生鮮食料品が手に入る店がないといったフードアクセスが影響するが、フードアクセスが高齢者の健康に及ぼす影響を検討したものは少ない。これまでフードアクセスは地理情報システムを用いた客観的方法で測定されてきたが、身体状況や社会的背景が多様化している高齢者には実際の店の数や距離よりも、主観的なフードアクセスのほうが生活の質を反映している可能性がある。そこで本研究では客観的および主観的フードアクセスが高齢者の健康に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。平成28年度は日本の高齢者のフードアクセス状況を把握するために、全国の高齢者を対象とした2010年のJAGES(日本老年学的評価研究)調査の対象者について客観的および主観的フードアクセスを個人単位で測定し、全国15市町村の約5万人のデータを作成した。主観的フードアクセスが悪い人を解析した結果、全体の約23%の高齢者が徒歩圏内(おおむね1km以内)に生鮮食料品が手に入る店が「ほとんどない」または「まったくない」と回答していた。市町村毎に主観的フードアクセスが悪い高齢者の割合を解析した結果、最も少ない市町村で16%、最も多い市町村で35%となり、市町村によって大きな差があることがわかった。次に、客観的および主観的フードアクセスにギャップがある人の背景を把握するために2016年のJAGES調査にて性別、年齢、世帯、食料品調達手段、食事準備方法、所得、教育、身体状況、うつ、交通手段、坂道や危険な道路、社会活動、サポートの有無、地域とのつながり等について調査を実施した。その結果、全国40市町村の約20万人から回答を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、2010年のJAGES調査の対象者について個人単位の客観的および主観的フードアクセスの測定が終了している。さらに、2016年の調査にて主観的フードアクセスに影響を与えると予想される因子について調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
客観的および主観的フードアクセスと高齢者の死亡との関連を解明するために、2010年のJAGES調査にフードアクセスと死亡データを結合したコホートデータを作成し、ベースライン時にフードアクセスが悪かった人の死亡リスクについて比例ハザードモデルを用いて検討する。さらに、心血管リスクや低栄養との関連を調べるために、健康診断で得られた生化学データを個人単位で結合したデータを作成し、フードアクセスと血圧、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール、Hb1Ac、血糖、BMI値との関連を解析する。
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Causes of Carryover |
学会発表の予定を次年度に見送ったことに加え、予定よりも2016年度の調査費用を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度にできなかった学会発表に加え、国際誌に論文を投稿するための英文校正費および雑誌掲載費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)