2016 Fiscal Year Research-status Report
日本人妊婦における栄養摂取量および身体活動量が母児の健康に及ぼす影響の検証
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16K16296
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
谷内 洋子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (30642821)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 妊娠糖尿病 / 耐糖能異常 / 妊娠中の栄養 / 妊産婦 / 若年女性のやせ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度において、初診時臨床パラメータ(血糖値、HbA1c値等)と妊娠後期耐糖能異常発症との関連の検討を行い、研究成果について、第70回日本栄養・食糧学会大会にて口頭発表を行った。この研究では、研究の新規性や社会的意義に着目され、当該学会大会プレスリリーストピックス演題として選定され、科学関係報道機関に説明する機会を得ることができた。現在、研究成果をまとめ、国際誌掲載をめざし、英文論文を執筆中である。 また、妊娠中のエネルギー摂取量に占める炭水化物摂取割合と耐糖能異常発症リスクとの関連を検討した研究では、エネルギー摂取量に占める炭水化物のパーセンテージの多い群において、耐糖能異常発症リスクがもっとも低いことを解明した。妊娠中に適切な栄養状態を維持し、胎児の正常な発育を促すために、妊娠中のエネルギーの十分な摂取は重要であり、その際、エネルギー産生栄養素をどのようなバランスで摂取するかが問題となる中、本研究において、炭水化物のパーセンテージの多い群の耐糖能異常発症リスクが有意に低いことが示唆され、耐糖能異常発症予防の観点からは、妊娠中において、炭水化物からのエネルギー摂取を控える必要はないことを明らかにすることができた。この成果を執筆した英文原著論文は、糖尿病専門の国際誌であるDiabetes/Metabolism Research and Reviewsに掲載された。また今回得られた研究成果について、一般の妊産婦を対象とした講演会にてフィードバックし、その成果を社会に役立てることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠中の炭水化物摂取量と耐糖能異常発症リスクとの関連の検討では、炭水化物摂取割合が多い群で、もっともそのリスクが低いことを見出した。日本人では、適正体重よりやせた状態で妊娠する女性が多い中、児の健やかな発育のためには、妊娠中の十分なエネルギー摂取が重要である。この検討では、妊娠中において、血糖管理目的で炭水化物からのエネルギー摂取を控える必要がないことを示唆し、その成果については、国際誌に掲載されたとともに、一般の日本人若年女性を対象とした講演会を通してフィードバックすることができた。 また、初診時臨床パラメータ(血糖値、HbA1c値等)と妊娠後期耐糖能異常発症との関連の検討については、解析を終え、現在英文論文を執筆中で、近日原著論文として投稿予定である。 また同時に現在、妊娠中の食事や運動がメンタルに及ぼす影響についても解析に取り組んでいることから、今後も引き続き研究計画を忠実に進め、さらに発展させたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述した、初診時臨床パラメータ(血糖値、HbA1c値等)と妊娠後期耐糖能異常発症との関連の検討については、現在英文論文を執筆中で、今年度(平成29年度)中の原著論文として国際誌への投稿を目指す。 これに並行して現在、妊娠全期間における食事が妊娠中の低い血糖状態に及ぼす影響について検討しており、近年においても高い割合で推移する低出生体重児出産予防のための方策について、妊娠中の食事と血糖状態の観点から取り組んでいる。また近年のわが国において、やせ妊婦の存在が指摘されていることから、妊娠中の食事に加え、妊娠中の体重増加量の適値も含めて検討を進めているところである。この検討については、解析に着手しているところであり、今年度の学会発表を予定している。 また、妊娠中および出産後の各種診療データおよび食事調査データを基に、妊娠期から出産後までを網羅した、妊娠・出産を経た女性の栄養摂取状況と体型の実態についても明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
平成28年度における母児の健康状態フォローアップ調査にて、母児の身体計測目的で自動身長体重計を購入予定であったが、調査で使用する実働期間が数日間に限られていることから、レンタルにて対応したことで価格が抑えられた。そのため、次年度使用額が生じたと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度以降は当初の予定どおり、迅速な調査の実施および完了と調査結果の解釈を促進するため、調査遂行、解析に必要な設備備品(解析に必要な統計ソフト、グラフィックソフト、スキャナ等)の購入を予定するとともに、前述の次年度使用額にて生じた分については、解析ソフトのアップグレード料に充て賄う予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Unstable bodyweight and incident type 2 diabetes mellitus: A meta-analysis.2017
Author(s)
Kodama S, Fujihara K, Ishiguro H, Horikawa C, Ohara N, Yachi Y, Tanaka S, Shimano H, Kato K, Hanyu O, Sone H.
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Journal Title
J Diabetes Investig
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Quantitative assessment of genetic testing for type 2 diabetes mellitus based on findings of genome-wide association studies.2016
Author(s)
Kodama S, Fujihara K, Ishiguro H, Horikawa C, Ohara N, Yachi Y, Tanaka S, Shimano H, Kato K, Hanyu O, Sone H.
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Journal Title
Ann Epidemiol
Volume: 26
Pages: 816-818.e6.
DOI
Peer Reviewed
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