2017 Fiscal Year Annual Research Report
Application and modification of Tutorials into Japanese University Curriculum
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16K16306
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山田 吉英 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (30588570)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Tutorials / PER / misconception / p-prims |
Outline of Annual Research Achievements |
米国物理教育研究(PER)の源流と目されるWashington大学McDermottらのグループが開発したTutorialsを日本の大学教育実践に適合するよう修正、実践、評価を行った。 現状のPERは工学的・定量的になされるのが一般的であり、筆者も概念テストを用いたプレポストテストの規格化ゲインを用いているが、本研究では、教育・学習の質的側面に重心を移していった。質的側面へのアプローチは、実践的・探索的・一人称的な試行錯誤の省察と、理論的フレームワークの探索に関する調査研究を含む。 Tutorialカリキュラムの実践研究は、McDermottグループやMaryland大学Redishグループのように「調査&研究→修正&開発→実践&評価」のサイクルを回すのが定石である。この道をたどりつつ、サイクルの各プロセスに関する実践研究に関する実践的省察と、学習・教育事象をモデル化するための基礎理論に関する調査を行った。 現時点での暫定的な結論は以下の通りである。(1)Tutorials実践の精緻化のため、インストラクショナルデザイン、動機づけ方略、ファシリテーション介入、フレーミングのメッセージなど、多様な教授方略との結合を行ったところ、幾何光学分野でLOCEを用いての規格化ゲインは0.5前後の値を再現した。この結果の解釈は多様であるが、少なくとも事実としてPER初期に言われた「規格化ゲイン0.7の壁」を超えることはできなかった。(2)問題文の読解、問題状況の理解、認知的葛藤の非生起に関する困難が個別の学習者の中に見出された。これらの困難は定量的な測定に基づく研究に終止している限り決して見えては来ないものである。これらの問題を解明するための第一歩として、diSessaのp-prims論(断片知識論)に着目し、その使い方、解釈に関する研究を開始し、その経過を学会等で報告した。
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