2016 Fiscal Year Research-status Report
大学生がキャリア構築を行うための協調学習教材のデザイン
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16K16311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福山 佑樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任助教 (90738353)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キャリア教育 / 高等教育 / キャリア構築理論 / ゲーム教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「大学生同士がキャリア構築を行うための協調学習教材」のデザイン要件を検討するものである.本研究は1.大学生を取り巻く環境の変化と大学におけるキャリア教育の義務化という社会的背景と,2.キャリア教育における社会構成主義的手法への注目という2つの観点から着想された. 本研究では「大学生同士がキャリア構築を行うための協調学習教材」のデザイン要件を検討するために,特に1.大学生が自身のキャリアストーリーを他者と協調的に構築する活動を実現する教材を開発し,「キャリア意識」にどのような効果を持つのかを実証実験によって明らかにすること,2.これまでに開発されたキャリア教育教材(特に申請者作成の教材)と開発した教材を対象に,教材の構造とキャリア意識に対する効果を比較検討し,大学生同士が協調学習に基いたキャリア構築を行うための教材のデザイン要件の一端を明らかにすること,の2点に着目した. 平成28年度には,学会や文献での調査や識者へのヒアリングの実施と,本研究で開発を目指す「大学生が自身のキャリアストーリーを他者と協調的に構築する活動を実現する教材」の開発を行った.教材は社会構成主義なキャリア理論である「キャリア構築理論」基づいており,ナラティブ・アプローチを採用し,過去・現在・将来に繋がるキャリアストーリーを学習者が協調的に構成することを目指した.当初計画では,年度内に大学生を対象とした実践を行う予定であったが,教材テストの結果を鑑み,より効果をもたらすデザインを検討する必要があったため,開発だけに留まった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度には,「大学生が自身のキャリアストーリーを他者と協調的に構築する活動を実現する教材の開発」を行った. 28年度の前半ではキャリア教育に関する書籍や学会参加による調査やキャリアカウンセラー等の識者へのヒアリングを通じて,教材製作に必要な情報収集を行った. その後,その成果を元に「大学生が自身のキャリアストーリーを他者と協調的に構築する活動を実現する教材の開発」の開発を進めた.開発においては,これまでに代表者らが開発したナラティブ・アプローチに基づいて参加者同士が他者の過去のストーリーから,未来に活躍する物語を作りあう「かってにハッピーエンドゲーム」を参考に,より「未来のキャリアストーリー」に焦点化した教材を目指した.教材の目的は,大学生が未来に渡る自身のキャリアストーリーを構築し,そのためのプランニングを行う活動を可能にすることでキャリア意識を向上させることである. 当初の予定では,開発の終了後に大学生を対象とした実践を行う予定であったが,開発のテスト期間において教材の改良点が多く見つかったため,本年度は教材の開発を概ね終了するに留まった.
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Strategy for Future Research Activity |
29年度には,28年度に完了する予定であった「教材の最終的な完成」と「大学生を開発した実践」をまず行う予定である.実践の完了後には,実践で得られた各種データの成果の分析を行う.分析に際しては,量的データと質的データを組み合わせる混合研究法を用いることで,精緻に分析を行う予定である.具体的には,アンケートによる量的データの統計的手法による解析と,質的データについては,定性的コーディング等の手法を用いて丁寧に内容の分析を行うとともに,音声データ等はテキストマイニングによる分析も視野に入れている.分析が完了した後は国内外の学会での研究成果の発表や論文投稿を行う. また研究の進捗が順調であれば,開発した教材とこれまでの研究成果を統合的に分析し,「キャリア構築理論に基づいたキャリア教育を効果的に行うための教材」に共通して必要な構造はどのようなものであるのか,教材の構造の違いによる効果の違いはなぜ生まれたのかを検討することで,そのデザイン原則の一端を明らかにすることを目指す予定である.
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Research Products
(1 results)