2017 Fiscal Year Annual Research Report
Training Critical Thinking Skills by Practice of Distance Learning using Spherical Panorama VR Learning equipment for Peace Education
Project/Area Number |
16K16322
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
瀬戸崎 典夫 長崎大学, 教育学部, 准教授 (70586635)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | Virtual Reality / 平和教育 / 教材開発 / 授業実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,加害と被害の両面を学ぶことが可能な全天球パノラマVR教材を開発した.具体的には,まず,長崎における原爆投下の被害の実相を伝える全天球VR教材を開発した.さらに,日本側から捉えられる加害の面である真珠湾攻撃に関する全天球VR教材を同様の手続きで開発した.それぞれの教材は,タブレット端末を利用して視聴することが可能である.また,アプリケーション内の地図上に設定された地点をタップすることで,その場の全天球画像が表示される.なお,学習者はタブレット端末を動かすことで上下左右360度のVR環境を体験することができる.さらに,VR環境に重畳表示された「現在の画像」および「被害時の画像」をタップすると,画像サイズが大きくなり,音声による解説が流れる仕様とした.本教材は,遠隔授業で使用できるように日本語および英語による文字の表記と音声解説を実装した. 全天球VR教材による学習効果として, VR環境における自由探索的な活動は,ノートテイキングと同等の効果が得られることが示された.また,アンケートによる主観評価の結果から,「関心・意欲」,「理解」,「実感」の項目において高い評価を得た.したがって,学習者は本教材を肯定的に捉えており,本やインターネットを利用した従来の授業形態と比較して理解しやすいと感じたことが明らかになった. さらに,本教材を利用して長崎の原爆被害および,現地からの遠隔中継によるホノルルの真珠湾攻撃を題材とした,戦争の加害と被害の面について学ぶ異文化間平和教育を実践した.その結果,異質性の中に含まれる他者との「異なる価値観」や「同じ価値観」を認識することができ,多様な観点から平和構築に対する思考を深め得る可能性が示された.
|