2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the methods of the faded colour film restoration and the long-term preservation
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16K16343
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Research Institution | The National Museum of Modern Art, Tokyo |
Principal Investigator |
大傍 正規 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 主任研究員 (40580452)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再タイミング / デジタル復元 / 色再現 / カラーグループ / 現像所 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内の現像所IMAGICA Lab.において、国立映画アーカイブの技術職員が現役時代にタイミングを担当した作品について、当該作品の撮影カメラマン立ち会いのもと、封切り時の狙い通りの色彩を再現する「再タイミング版作成プロジェクト」であるが、最終年度は、同じ作業フローが他の現像所でも実行可能かどうかを検証するため、東京現像所の現役のタイミングマンの協力を得て、当時撮影を担当された前田米造カメラマンの立会いのもとで、『お葬式』(伊丹十三監督、1984年)の再タイミング版を作成した。この結果、映画完成時のカメラマンとタイミングマンのコンビで、公開当時に限りなく近い色味を確実に再現できる事が証明された。この取り組みは、日本撮影監督協会(JSC)からも高い評価を受け、その研究成果を同団体の機関紙『映画撮影』221号に依頼論文「再タイミング版作成プロジェクト後記」の形でまとめることができた。 また、本年度に東映株式会社と共同で実施した『白蛇伝』(薮下泰司監督、1958年)のデジタル復元に際しては、日本初の長編カラーアニメーション映画である本作について、現存するセル画等の原画資料を適切に分析することで、公開当時の色彩を復元することができた。 最後に、過去3年間で築きあげたカラー映画の色彩を復元する際の方法論について、これまで学術的交流を続けてきたバーバラ・フルーキガー氏(チューリヒ大学教授)の要請を受けて、国際会議カラーインフィルムに国立映画アーカイブとして初めて(アジア地域からの参加としても初)参加し、本研究成果の集大成として、口頭発表「Restoring Two-Colour Film and Early Fuji Colour Film: Towards a More Material Approach to Colour Grading」(大関勝久氏との共同発表)を行った。
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