2020 Fiscal Year Research-status Report
対話とハンズ・オン教材を組み合わせた博物館教育の実践と研究
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16K16345
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Research Institution | Kyoto National Museum |
Principal Investigator |
水谷 亜希 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部教育室, 主任研究員 (20565296)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文化財 / ハンズ・オン / 対話 / 鑑賞 / ボランティア / 美術 / 博物館教育 / 感染症対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、対話とハンズ・オン教材を組み合わせた博物館教育の実践と研究を行う。具体的には、京都国立博物館において京博ナビゲーター(ボランティア・スタッフ)が行う「ミュージアム・カート」を主な考察の対象とする。来館者の主体的な興味・関心を引き出すためには、どのような手法や教材が最も有用かを検討、実践し、最終的にはその成果を普遍化して他の教育普及活動にも応用できるようにすることを目的とする。 本年度は、新型コロナウイルスの影響により、京博ナビゲーターの活動が停止するという事態からスタートした。当初は数か月後の収束を想定し、感染症対策を検討するなど再開に向けた準備を行っていたが、完全な収束には年単位の時間がかかると判断し、最終的に第2期ナビゲーターの活動は中止し、選考を進めていた第3期ナビゲーターの募集も中断することとなった。「ハンズ・オン」「対話」という活動の2本柱としてきたものが、感染症の流行の際には最も実施し難い手法であるということが明らかになった。 今後の博物館での教育普及活動を検討するために、今年度は次の4つを実施した。1.論文の執筆・公開(第1期ナビゲーターへのアンケートをもとに分析) 2.活動記録集の発行(第2期ナビゲーターから寄せられたエピソードを掲載) 3.感染症対策に関する他館の活動調査(オンラインや電話による情報収集、近隣館の視察) 4.活動再開・再編に向けた教材の整理・メンテナンス 新型コロナウイルスの収束については、いまだに先が見えない状況である。博物館の活動全体が大きく制限を受ける中で、利用者のために今後どのような活動が可能であるのか、これまでに収集・蓄積した情報をもとに、新しい時代の博物館教育の在り方を考えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、来館者に向けた京博ナビゲーターの活動はまったくできない状態となった。結果的に当初の予定どおりの活動はできなかったが、感染症対策を踏まえたワークショップ会場の改良や、別の活動への転用、他館の調査など、今後の活動の基礎となる経験を積み、情報を収集することができた。 また、新型コロナウイルスが流行する以前の活動について、論文や記録集にまとめ、広く一般に公開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
いまだ新型コロナウイルスが収束しないため、従来通りの活動や、遠方への調査が難しい状況である。活動が制限される中で、「ハンズ・オン」や「対話」が、人間が何かを感じたり理解したりするのに欠かせない体験であると再認識したが、感染症の流行の際には実施し難いということも明らかになった。こうした活動を補完するものとして、他にどんな手段があるのか、オンラインでの情報収集を基本としつつ調査を行い、考察したい。
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Causes of Carryover |
作成した「京博ナビゲーター活動記録」は、京博ナビゲーターや全国の博物館教育の関係者等に送付したが、印刷が終わって冊子の重量が確定するまで正確な郵送費が分からなかったため、最終的に余剰が出た。次年度に繰り越す分は、他館の活動調査のための旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)