2016 Fiscal Year Research-status Report
過去55年間の日本における豪雪長期変化の地域性と近年の豪雪事例の急増
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16K16349
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高橋 洋 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (50397478)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 豪雪 / 日本海側 / 冬季モンスーン / 降雪深・積雪深 / 地球温暖化 / 気候レジームシフト / 北極振動 / 領域気候モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本における長期的な降・積雪量変動と、近年の豪雪の増加について、データ解析と領域気候モデルにより、その地域性を明らかにすることを目的としている。日本海側の雪が平均的に減少している一方で、最近、冬季には豪雪の報道がたびたびなされるが、実際に豪雪は増えているのだろうか?
現在まで、気象庁の気象官署のデータをとりまとめ、降・積雪深の長期的な変動について、データの解析を進めており、論文の投稿準備中である。過去25年程度(1981年~2005年)の変化をみると、1990年あたりの気候のレジームシフト(気候ジャンプ)と同時に急激な降・積雪深の減少が見られる。しかしながら、一部地域(北陸~東北)では、減少が統計的に有意ではない地点が複数存在することが分かった。これについては、雪変動が、降水量変動の長期変動の影響を受けている可能性がある。つまり、雨と雪の比率は、ほとんどの地点で減少しているが、降水量が増えた地点においては、降・積雪深を見た場合に、統計的に有意な減少とならない例がある。また、1990年あたりの変化は、長期的な変化というより、気候のレジームシフト(気候ジャンプ)とみた方が良いかもしれない。さらに、データが使える1961年以降からの過去55年を対象とすると、統計的に有意な減少傾向が見られる地点は少ない。これは、1970年代、1980年代が過去55年間で降・積雪深が多い期間であることが影響しているようだが、より詳しい調査が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去25年間のデータ解析で、雪の長期変化の地域性などが分かってきており、順調に進んでいる。また、過去55年間の長期変化をみると、長期変化の傾向があまり見えないなど、興味深い点も分かりつつある。しかしながら、論文として投稿準備中なので、論文投稿を急ぐ必要がある。また、領域気候シミュレーションについても、予備実験を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
平均的な降・積雪量の長期変化の地域性を明らかにすることを継続的に進めるとともに、豪雪の定義を考え、豪雪が近年、本当に増えているのかを客観的に明らかにしてゆく。また、そのメカニズムを検討するために、北極振動や熱帯のENSOなどからの遠隔影響について、統計的な調査を進める。また、領域気候モデルを用いることで、長期変化を説明する要素を切り分け、メカニズムをより詳細に検討する。また、気象官署の観測地点は、平野部か盆地がほとんどのため、観測点がない地点についてもシミュレーション結果を活用し、長期変動の傾向について議論する。
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Causes of Carryover |
大規模なデータストレージが予定よりも少ない予算で購入できたため。また、論文が出版に至らずに、論文の出版関連の経費が使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はさらに大きなストレージが必要なため、データストレージを購入する。また、論文を出版するため、論文関連費用が必要となる。
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Research Products
(1 results)