2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16378
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松枝 未遠 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (80738691)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大気顕著現象 / 予測可能性 / アンサンブル予報 / 寒波 |
Outline of Annual Research Achievements |
再帰的に起こり持続性のある大規模な大気の流れを「天候レジーム」と呼ぶ。本研究は、天候レジームの再帰性・持続性により引き起こされる大気顕著現象(熱波・寒波など)の予測可能性を、様々な時間スケールの現業アンサンブル予報データにより調査し、顕著現象による被害の低減に貢献することを目指す。 欧州冬季のレジームの予測可能性を中期アンサンブル予報データにより調査したところ、負位相の北大西洋振動(NAO-)はその持続が長い(短い)ほど予測可能性が高い(低い)ことが分かった(投稿論文受理)。これは他のレジームには明瞭に見られない性質であり、予報開始時においてNAO-が今後も持続するかどうかのシグナル(海洋などの境界条件等)を検出さえできれば、NAO-とそれにより欧州にもたらされる寒波の予測精度を事前に知り得ることを示している。 また、2017年12月下旬にブロッキング現象(北米域のレジームの1つ)の持続により米国・カナダで発生した寒波、および、2018年1月下旬以降にユーラシア大陸からの寒気の吹き出し(アジア域のレジームの1つ)により日本付近で発生した寒波の予測可能性について調査した。米国・カナダの寒波は、ピークの10-11日程度前からであれば精度良く予測可能であったが、ピークの12日以上前からの予測では、ブロッキング現象が十分に発達せず、寒波の強さが過小評価されていた。日本付近の寒波については、1月下旬の寒波は15日以上前から充分に予測可能であったが、2月中旬以降の寒波は10日程度前からようやく予測可能となり、11日以上前からだとむしろ温暖な天候を予測しているモデルが多かった。 さらに、欧州中期予報センター簡易版数値予報モデル、気象庁海面水温感度解析予報モデルの筑波大学計算機への移植を終え、次年度の仮説検証感度実験等に備えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年発生した大気顕著現象の事例の追加をする必要はあるが、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
大気顕著現象の事例を増やすと共に、それら現象の予測可能性を延長させる鍵(特定の領域や境界条件等)を見つけることに努める。予測可能性延長の鍵を握る領域や境界条件が見つかった事例については、簡易版現業モデルによる仮説検証実験等を行う。また、人間活動に特に影響の大きい顕著現象が発生した場合はそれを優先的に解析し、その予測可能性について論文や学会等で報告する。
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Causes of Carryover |
当該年度中に受理された投稿論文の掲載料の請求書が届いていないため、次年度使用額が生じた。次年度前半に請求書が送られてくるので、届き次第、次年度使用額から支払う予定。
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Research Products
(10 results)