2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a real-time optical thrombus sensor for an extracorporeal centrifugal blood pump using visible and near-infrared spectroscopy
Project/Area Number |
16K16384
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤原 立樹 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (00632291)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 体外循環 / 補助循環 / 血栓検出 / 血液凝固識別装置 / 遠心ポンプ / ジャイロポンプ / 心臓血管外科 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症心不全・呼吸不全の患者に対して、遠心血液ポンプや人工肺で患者の心肺機能を補助する体外機械的補助循環治療(PCPS,ECMO,VAD)が行われる。この治療において懸念される重篤な合併症のひとつは血栓塞栓症であり、それを回避するために抗凝固療法が行われるが、過剰な抗凝固療法は逆に出血合併症の原因となる。遠心血液ポンプ内は血栓の好発部位の一つであるが、この部位における血栓をモニタリングする手法は存在しなかった。 我々は血栓形成時の光学特性の変化に着目し血栓検出装置の開発に取り組んだ。初年度に分光光度計を始めとした計測機器類を購入し、解析のためのプログラムのソフトウェア開発を発注した。作成した血栓検出装置にてブタ血液を用いた模擬回路実験を行ったところ、ポンプの上部ピボットに血栓が出来た時の光学的変化を捉えることが可能であった。 最終年度では開発した計測装置を用いた動物実験を行った。体重約80kgのSPFブタを全身麻酔下に左肋間開胸により心臓を露出させ、左心室脱血、下行大動脈送血の左心室補助循環回路を構成した。ポンプには上下2か所のピボットを持つジャイロポンプを用いた。血栓形成を意図的に誘発するために、カニューレション時にのみヘパリンを使用し、循環開始後、プロタミンによりへパリンを中和して閉胸した。血栓モニタリング中の活性血液凝固時間(ACT)は概ね100 sec以下を維持した。結果として動物実験でもポンプの上部ピボットでの血栓形成に成功し、その際のピボット散乱光の変化を開発した計測装置でリアルタイムにモニタリングすることに成功した。 本研究成果に関して学会発表を通して発信したところ、遠心ポンプ等を製造販売する医療系企業から大変な反響を認めた。今後は企業と共同で臨床現場において使用可能な遠心ポンプ内血栓検出装置の開発に取り組んでいく。
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