2016 Fiscal Year Research-status Report
自家蛍光フリーラマン散乱分光法の開発と生体組織解析への応用
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16K16389
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
南川 丈夫 徳島大学, 大学院理工学研究部, 講師 (10637193)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ラマン散乱分光法 / バイオイメージング / 自家蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラマン散乱分光法は,分子振動に基づいた無染色・非侵襲的な生体組織解析法として有用である.しかし,生体組織から発生する自家蛍光の影響で,ラマンスペクトル検出脳が大きく制限されるといった問題点があった.そこで本研究では,ラマ散乱光と自家蛍光の波長依存性に着目することで自家蛍光の影響を除外し,高感度にラマン散乱スペクトルを得る手法の開発を行うことを目的とする.特に,開発した手法をガン摘除手術において重要な腫瘍およびその周囲組織検出に応用することで,生体組織からの自家蛍光が多い環境下であっても,従来より高感度・高速な非侵襲的がん組織診断法を実現する. 本年度は,自家蛍光の影響を抑えるため,ラマン散乱光と自家蛍光の波長依存性に着目したラマン散乱分光顕微鏡の光学系の構築を行った.その結果,光源に可視域光源を採用し,発生したラマン散乱光を分光器により検出するシステムを実現した.その際,波長依存性を確認するため,複数の光源を導入できる光学系の構築を行った.次に,開発したシステムを用い,各種サンプルの測定を行った.その結果,様々な励起波長を用いることで,波長依存性が高いラマンスペクトルを得ることができることを示した.一方,自家蛍光の場合は,波長依存性が少な行ことも実証した.以上のことを用いることで,自家蛍光の影響を除外したラマン散乱スペクトルを得ることが可能であるという基礎的データを得ることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目標であった光学系の構築と,自家蛍光の影響を除外したラマン散乱スペクトルを得ることができた.以上のことから,平成28年度研究実施計画に沿っておおむね進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ,おおむね順調に研究が進展していると考えている.そのため,今後は当初の研究計画を踏襲して,本手法に特化したスペクトル解析アルゴリズムの開発を行う.また,それを用いた新たな生体イメージング法の確立へ繋げていく.
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも目標を達成するための開発経費を削減することが出来たため,次年度に直接経費を繰り越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,本年度からの繰越金を活用して,本研究目的をより多角的に深くアプローチをすることができるように,更なるラマン顕微鏡の改良に予算配分を行う予定である.また,応用計測のための薬品等の購入にも繰越金を活用することで,さらなる研究の促進を行う.
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Research Products
(6 results)