2017 Fiscal Year Research-status Report
周辺視野において中心視野とは異なる情報が表現される脳内メカニズムの解明
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16K16391
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岡村 純也 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (30447594)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 周辺視野 / 中心視野 / 視覚的認識 / 神経細胞 / スパイク活動 / 相互相関 / 内因性光計測 / Granger因果性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中心視野と周辺視野の機能的差異に注目し、周辺視野において実際とはかなり異なる情報が表現される脳内メカニズムを内因性光計測法、及び多点電極を用いた電気生理学的方法を用いて明らかにすることを目的とする。周辺視野において視覚刺激の周辺からの影響が強く表れる脳内メカニズムを明らかにするため、周辺視野、中心視野それぞれに対応する皮質領域に5×5の記録点から成る多点記録電極を刺入し、神経細胞のスパイク活動の相互相関解析を動物を対象とした実験で行った。その結果、周辺視野に対応する皮質領域において、中心視野に対応する皮質領域よりも多くの神経細胞ペアが有意な相関値を示した。この結果から、周辺視野に対応する皮質領域において、中心視野に対応する皮質領域よりも細胞間の相互作用が強く、視覚刺激の周辺から影響を受ける神経機構に関わる可能性が考えられた。多点電極で記録した局所電場電位を対象とし、Granger因果性を用いて視覚野における情報の流れの向きを解析する方法を検討しており、局所電場電位の周波数帯域ごとに情報の流れの向きを解析するプログラムを作成し、定量的な解析を進めている。内因性光計測の信号を、従来よりも高い空間分解能、時間分解能で解析するシステムを構築しており、検証実験を行い、実際に計測できることを確認した。プログラムの改善を繰り返し、機械学習等を用いて、ノイズをある程度予測して除去するシステムを構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周辺視野において視覚刺激の周辺から影響を受ける脳内メカニズムを、神経細胞活動の相互相関を用いて解析し、中心視野における結果と比較しながら解析を行っている。定量的な解析を現在進めている。多点電極で記録した局所電場電位を対象とし、Granger因果性を用いて視覚情報の流れの向きを解析するプログラムを構築し、解析を進めている。内因性光計測の信号を高い時間分解能、空間分解能で計測するシステムを構築しており、ノイズ除去の工夫がさらに必要であるが、実際に信号を計測できる段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
神経細胞活動の相互相関を用いた解析ではさらに定量的な解析を進める。局所電場電位を対象とし、Granger因果性を用いた解析では、プログラムを一通り構築し、改良を繰り返しながら定量的な解析を進める。内因性光計測信号を高い時間分解能、空間分解能で計測するシステムを構築し、機械学習等の手法を用いて、ノイズをある程度予測して除去するシステムの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
計測システムの構築に必要な物品を購入し、実験の回数は減らしたため次年度使用額が生じた。実験用薬品等の消耗品の購入に充てる。
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